自公、国民民主、連合が支援する現職・尾花氏の出陣式に、県知事や地元国会議員など有力者が集結
カジノ誘致賛成の現職・尾花候補は自公と国民民主が推薦。7月22日の告示日には、仁坂吉伸知事(左端)や二階俊博幹事長の長男・俊樹氏(代理主席)ほか、地元選出の与野党国会議員らが勢揃いした
7月29日投開票の和歌山市長選で、圧勝すると見られていた現職候補の尾花まさひろ・和歌山市長に、「カジノ誘致反対」を掲げる島くみこ候補(共産・社民推薦、自由支援)が猛烈な追い上げを見せている。
尾花氏には、二階俊博・自民党幹事長(和歌山3区)をはじめとするカジノ誘致賛成派が支援。一見すると、大政党の支援を受ける尾花まさひろ現市長は盤石の体制で、再選確実であるように見える。
しかしこれは、原発再稼働反対を訴えた少数野党(共産・社民・自由)支援の米山隆一・前知事が、自公推薦候補を破った1年半前の新潟県知事選と瓜ふたつの構図だ。そのため、再稼働反対の民意が米山知事誕生の原動力となったのと同様、「カジノ反対の民意が番狂わせを起こすのではないか」とも囁かれているのだ。
7月22日8時半、和歌山城近くの結婚式場の駐車場。2期目を狙う尾花候補の出陣式には、そうそうたるメンバーが集結していた。カジノ誘致に熱心な仁坂吉伸・和歌山県知事をはじめ、二階俊博幹事長(和歌山3区)の代理出席として長男の二階俊樹氏も駆けつけ、与野党国会議員が勢揃いをしていた。
自民党のトップバッターとして門博文衆院議員(和歌山1区で落選・近畿ブロック比例復活)が、「昨晩遅く電話をいただきました」という二階幹事長のメッセージを代読した。
「今日は所用でこの出陣式には出られないけれども、ぜひ自民党を挙げて尾花候補の圧倒的勝利に導いてほしい。そのうえで公明党の皆様とも協力をさせていただいて、この県都・和歌山市がさらに発展できるように、できることは何でもする」
この公明党からも浮島智子衆院議員(近畿ブロック比例)が出席、挨拶したのは当然として、カジノ実施法案に反対した国民民主党の岸本周平衆院議員(和歌山1区)までも「私利私欲が全くない尾花さんが私は大好きです。みなさんも大好きだと思います。頑張りましょう」とエールを送っていた。
そして連合和歌山の副会長も支援を表明、続いて尾花氏が決意表明をした後、「勝つぞ」コールで出陣式は締められた。
自民党、公明党と国民民主党が推薦して、さらに連合も支援するという盤石の体制となれば、尾花陣営から「ダブルスコアは当たり前。トリプルスコアが目標」(和歌山市議)という声が出るのは当然。ただし出陣式では、尾花候補自身も応援弁士も、誰一人としてカジノ誘致にはついて触れなかった。組織力に物を言わせて、カジノは“争点隠し”で逃げ切ろうという狙いが見える。