さらに、7月23日、サンバイオは、慶應義塾大学医学部と、SB623 の認知症を適応症とした共同研究に関する契約を締結した。(参照:「
SB623 の認知症を適応症とした共同研究について」)
厚生労働省の調査によると、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加し、2020 年には 600 万人まで増加するとされている。
“今回の共同研究では、サンバイオの SB623 について、慶應義塾大学医学部 生理学教室(岡野栄之教授)において認知症モデル動物を用いて治療効果を評価し、臨床試験に進むための必要なデータの取得を目指します。サンバイオは今後、このような協力を通じて、SB623 のアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症等の認知症を適応症とした開発を進めてまいります。”
としている。サンバイオは、SB623のアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症等の認知症を適応症とした開発を進めるという。
認知症と言えば、7月6日、エーザイも米バイオ医薬大手バイオジェン・インクと共同で開発しているアルツハイマー病治療薬「BAN2401」の早期アルツハイマー病患者856人を対象とした臨床第Ⅱ相試験の18カ月の最終解析のトップライン結果で、統計学的に有意な臨床症状の悪化抑制と脳内アミロイドベータ蓄積の減少を証明したと発表したばかりである。(参照:「
BAN2401は18カ月の最終解析において、統計学的に有意な臨床症状の悪化抑制と脳内アミロイドベータ蓄積の減少を証明」)
エーザイは、臨床症状および脳内アミロイドベータ蓄積の両エンドポイントで疾患修飾効果を世界で初めて後期臨床試験で実証し、アルツハイマー病治療標的としてのアミロイド仮説を実証する画期的な結果を取得した。ポジティブ・サプライズとして治験結果を評価した人たち、すなわち、治験が上手くいくとは期待していなかった人たちも多いと聞く。
エーザイのアルツハイマー病治療薬「BAN2401」は、長期間にわたり早期アルツハイマー病の進行を抑制する効果が期待されるのに対して、サンバイオの「SB623」は、アルツハイマー病を改善する効果も期待されている。
慢性期になってリハビリの効果が期待できない慢性期脳梗塞、外傷性脳損傷に対して、サンバイオの再生細胞薬「SB623」によって改善することが期待される。また、改善効果が期待しづらかった認知症が改善する可能性も、慶應義塾大学医学部との「SB623」の共同研究により、生まれるかもしれない。
<文/丹羽唯一朗>