狭いタイの日本人社会で増える、日本人同士の結婚・不倫・離婚……

日本人同士の結婚増と同時に不倫や離婚も増加

 しかし、男女の仲というのはわからないものでもある。タイで日本人同士の結婚が増えているものの、一方では離婚の話もよく聞くようになった。大使館などの在外公館では婚姻届を出すことができ、同時に離婚届も受け取ってもらえる。ただ、在外公館は提出者を管轄する日本国内の役場に転送するだけであり、タイ大使館でどれくらいの婚姻届・離婚届が出ているかは不明だ。ただ、筆者の周囲では日本人同士の離婚がよく聞かれるようになっている。  タイ在住約8年のJさんは34歳のとき、タイで知り合った日本人女性31歳と交際1年半で結婚したが、結婚生活もまた1年半で終わった。 「駐在員のキラキラした生活に憧れでもあったのでしょう。それができないとわかるや、タイ在住の日本人と不倫され、離婚しました」  元妻は航空会社勤務で、30歳を目前に結婚への焦りもあったのではないかとJさんは今振り返る。生活をよりよくするため、Jさんは元妻のために起業もした。結婚式は豪華に、そして新婚旅行はわざわざタイからハワイへと連れていった。起業直後ではあったが、Jさんは特にカネに困っているわけではなかった。  しかし、いくら金があったところで、元妻の理想には届いていなかったらしく、不満を募らせた元妻は新たに知り合った男性と関係を持ってしまった。同時期に元妻によるJさんへの家庭内での罵倒など、言葉の暴力も始まった。

プール付きのアパートや、メイド付きの高級マンションなど、激安から贅沢な生活までなんでもあるのがタイ

「詰めが甘いというか、ある日見えるところに彼女のスマートフォンがあって、画面に男からのLINE着信が見えました。それで不倫が発覚して、あとは離婚に突き進みました」  確かに10年20年前の企業駐在員であればかなり大きな手当てがついて、リッチな生活ができたであろう。しかし、今の駐在員は現地採用者よりは給与は高いにしても、物価が上がっているタイでは富裕層並みの生活はできない。Jさんの元妻はなにを求めていたのかよくわかっていない。Jさんはそんな話を聞く気もなくなっていた。 「慰謝料も特に請求していません。元妻には見栄っ張りなところがあって、もうどうしようもなかった。離婚後にその男と一緒にいろいろな集まりに顔を出しているみたいですが、裏ではひそひそされていますよ」  タイ大使館に在留届を出していない人も含めれば10万人以上は長期滞在日本人がいるとされるが、それでも日本国内より社会は狭い。知り合いの知り合いを辿れば全員がなにかしら繋がってしまうほどである。そのため、Jさんの元妻はどこに行っても浮気をした女として影でいろいろと言われてしまう。 「復讐でもすればと言う人もいますが、関わりたくないですね。ただ、その新しい男も自営業者なんです。結局彼女はなにがしたいのか、全然わかりません」  とJさんは吹っ切れたように笑った。  筆者が知っているタイで離婚した日本人夫婦も、以前ならどちらかがタイから去って行くということが多かったが、最近はどちらもタイに残っているケースばかりになった。それほどタイは居心地のいい国でもある。また、タイ社会が個人主義で他人の主義や嗜好、生活に口を出さないので、それに慣れると日本人社会でなにを言われようが気にならなくなるというのもある。いずれにせよ、みんな逞しい。
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狭い日本人社会で繰り広げられる愛憎劇
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