【新興国のなかでも特に優等生なメキシコ】メキシコは7月1日に大統領選が実施され、ペニャニエト大統領(左)は退任し、新たにアムロ大統領となった。選挙後の値動きには注意 写真/AFP=時事 AA/時事通信フォト
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高スワップの新興国通貨。下落相場を乗り切るペソ&リラの資金管理術
持っているだけでスワップ収入が積み上がる高金利の新興国通貨。しかし、買い向かった投資家の多くは、為替差損による損失を余儀なくされてきた。トレイダーズ証券の井口喜雄氏はその敗因をこう分析する。
「新興国はインフレなど先進国とは異なるリスクを抱えるうえ、市場が小さいのでヘッジファンドの売り仕掛けで暴落することもあります。
失敗する人の多くはポジション量が大きすぎて、暴落局面で強制ロスカットされている。しかし、
資金管理を徹底すれば『ほったらかし投資』は十分可能です」
高金利通貨であるトルコリラ、メキシコペソ、南アランドへの投資には、’00年代に流行した豪ドル投資が参考になるという。当時はオーストラリアの政策金利が7%ほどもあり、1万豪ドルにつき1日100円以上のスワップ金利がついた。しかも、主な輸出先である中国の好景気の恩恵を受けた豪ドルは上昇相場にあり、スワップと為替差益の両獲りもできたのだ。
「当時の豪ドルと似ているのがメキシコペソです。GDPも人口もプラス成長で、国内経済も堅調。輸出先のアメリカも経済は活況です。足元は下落トレンドですが、長期的には経済成長で上昇する可能性が高い」(同)
スワップが最も魅力的なのはトルコリラだが、地政学的なリスクが大きく、インフレ懸念は根強い。それでも、政権交代があれば上昇トレンドへの転換も見えてくるという。
そこで井口氏が重要だと語るのが、「下落に耐えるだけの資金管理」。100万円の資金で10年間投資する場合のポジション量を計算してもらった。
メキシコペソは10万通貨あたり150円のスワップポイント(トレイダーズ証券6月実績)が続くと仮定 ペソ/円レートを5円で算出
「
メキシコペソなら、市場最安値4.87円を下回る4円までの下落を想定すると、60万通貨が限界。1日のスワップは900円で、この水準が続けば年32万8500円、10年で328万円のスワップが積み上がる計算です」
仮に10年後、4円を下回れば100万円の資金はほぼ失うことになるが、それでも328万円が残る計算だ。資金が50万円であれば、ポジションも半分の30万通貨でトライしてみよう。