麻原彰晃らオウム事件死刑囚の執行のされ方と報じられ方に見る、日本社会の変質

 通常、死刑執行は極秘裏に行われ、事後に犯罪被害者遺族や関係者に伝えられる。メディアが執行を察知するのは、大抵、死刑執行からしばらくたったあとだ。ところが今回はまったく様子が違った。なかには「死刑執行のために東京拘置所に入っていく法務省関係者」の様子を撮影できているテレビ局まである。しかも撮影時間は午前7時。前日までに死刑執行が外部に漏洩していた証拠だ。しかも、午前7時ごろから始まった死刑の様子は、「いま、また死刑が執行されました」とリアルタイムでニュース速報が流れる始末。これではあたかも公開処刑ではないか。  冒頭で触れたように、オウムの所業は最大限断罪されねばならない。死刑も当然だ。オウムが行った数々の犯罪行為、人権蹂躙行為は到底許しがたいものであることは間違いない。だが、一方で、どんな凶悪犯罪者でも人権があることを忘れてはいけない。  我々の住む日本は先進国のはずだ。残虐な刑罰や公開処刑を是とするような未開の野蛮国ではない。感情に走りこのような「死刑の行われ方」を是とするのは、我々の社会こそが「オウム化」しているように見えてならない。 【菅野完】 1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/) ― なんでこんなにアホなのか ―
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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