もちろん、自民党議員でも理想的な動きをしていた人もいます。
実は、最も理想的な動きをしているのは自民党の参議院岡山選挙区の参院議員、
小野田紀美さんでした。普段はネトウヨをこじらせ気味なところがあるのですが、7月5日19時52分の段階で岡山県全県で警報が出ていると注意を呼びかけ、7月6日15時17分には瀬戸内市の市内全域に避難準備・高齢者等避難開始が発令されたと呼びかけ。岡山県が発信している情報をさらに拡散しようという姿勢が見え、大変素晴らしいです。その後もさまざまな情報を提供し、倉敷市のオフィシャルな情報を拡散。道が通れるのかどうかがわからない時に便利な「通れたマップ」などを紹介しており、岡山県選出の議員の中では、最もSNSを活用し、県民のために動いている議員であるということになりました。
岡山4区の橋本岳さんも7月7日17時04分に、今回の大雨被害に関する最初のツイートをしています。そこからは、いろんな所からの救援情報に「ありがとうござます!(※原文ママ)」と反応し、少しずつ大雨に関する情報を共有するようになりました。しかし、岡山4区こそ最も大きな被害が出ている場所であり、誰よりも動かなければならないはずなのに、動くのがあまりにも遅すぎまる感は否めません。ただ、更新していない自民党議員は多々いますし、一応、遅れを取り戻すかのように積極的にSNSを活用して情報を発信しているので、寿司をSNSにアップしているのに比べると幾分かはマシです。
ほかは、山下貴司(自民党・岡山2区)、阿部俊子(自民党・岡山3区)の両議員は発信がなし。むろん現場で動いてらっしゃるのかもしれませんが、もう少し積極的に活用してもいいのではないでしょうか。
また、高度プロフェッショナル制度をゴリゴリに進めた加藤勝信厚生労働大臣は岡山5区選出ですが、なんと、Twitterのアカウントが存在しません。Twitterをやっていないということは、地元の人たちの救助の声をリアルタイムで知ることができないということなので(秘書などから報告があるかもしれませんが)、今、何が起こっているのかを把握する能力にも欠けるということだと思います。高度プロフェッショナル制度について、国民がどのように思っているのかを知ることもできない人物が厚生労働大臣をやっていていいのでしょうか。
野党では、立憲民主党・岡山1区比例復活の高井崇志さんも、7月6日10時07分に、大雨が予想されるので警戒するように呼びかけ、地元秘書と連絡を取りながら対応にあたると宣言。7月7日8時02分に立憲民主党の岡山県連合の決起集会の延期を報告。その後は活動報告や渋滞情報などをFacebookで展開。SNSを十分に活用できているわけではありませんが、きちんと対応に当たっている様子は伝わってきます。
国民民主党・岡山4区比例復活の柚木道義さんも、7月6日19時47分に「避難勧告」が出ているため、厳重に警戒するように呼びかけ。7月7日14時06分に道路の冠水や道路の流出などが各所で発生しているので警戒を呼びかけるとともに、事務所スタッフと連携して災害対応にあたっていると報告。倉敷市役所や早島町役場とも情報を共有し、国への要請など必要な対応を随時行う状況であるとしています。ツイートはこの2つだけですが、早い段階から地元の人たちに注意を呼びかけており、悪くはありません。
ただ、同じ国民民主党岡山2区比例復活の津村啓さんは甚大な被害が明らかになった7月7日、「宮澤喜一bot」なるアカウントをリツイート。しかも、一刻も早く人命救助を進めなければならない時に「簡単には進まないからいい」という内容の名言をリツイートしている脳天気さで呆れてしまいます。
つい先日、過労死遺族たちの悲痛な叫びを笑い、高度プロフェッショナル制度を強行採決した安倍晋三総理でしたが、土曜の昼から自宅に帰り、そこから来客もなく、このタイミングで自宅でゆっくりされておられました。こんな時こそ総理大臣が先頭に立って陣頭指揮を執るものだと思いましたが、オウム真理教の死刑囚たちの死刑を執行したから内閣支持率は上がるだろうとでも思っているのでしょうか。この記事を書いている時点で45人以上が死亡し、70人以上が行方不明になっているため、東日本大震災以来の深刻な災害であるにもかかわらず、総理大臣が自宅に引きこもって出てこないのです。7月11日からはベルギーやフランスなど
4カ国を外遊する予定となっていますが、今のところ、
予定通りに外遊に行くようです。
自民党の国会議員は、日頃から「
日本を守る」とおっしゃっているのですから、こんな時こそ迅速に対応していただかないと困るのですが、しっかり対応できていると感じられるのは小野田紀美議員ぐらいなもので、辛うじて橋本岳議員が遅れて対応しているという感じでした。
<取材・文・写真/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:
@chidaisan>
ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「
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