麻原彰晃らの死刑執行を機に浮上する、元教団関係者を過度に追い詰める論調に潜む危うさ
オウムと麻原関係者の「全否定」しか認めない社会がはたして正しいのか
ところがこれをオウム事件、オウム真理教元信者に当てはめてみるとどうだろう。
多くの人々は元信者によるオウム真理教や麻原彰晃の全否定しか洗脳が解けた状態と認めない。
それは「逆洗脳されるべき」と言っているだけで、何の解決にもならないのではないだろうか。
内部に居た、少なくとも一時期は良いものを感じて中に入った彼らの感じたことや体験にこそ耳を傾けるべきであり、彼らがそれを臆すること無く語れる環境づくり、社会として彼らの居場所を作ることが、後続のトラブルを未然に防ぐ手立てとなるのではと私は考える。
上祐氏と初めて対談した際の言葉が今も心に刺さっている。
「批判は力になる。正しいからこそ世間に受け入れられないという思いを抱かせ、結束を強め姿勢を硬化させることになりかねない」
理解者の少ないものに対する否定や批判は共感も得やすく正当性があるようにも感じられるが、安易に陥りやすい罠でもある。
今回の元オウム教祖・幹部7人への死刑執行に関し、元教団関係者、現教団関係者として残された彼らには、かつての教祖や仲間の死を悲しむ権利はある。涙を流す権利はある。
それを許さない空気がある限り、オウム真理教事件の火種が鎮火することはないのだろう。
刑事裁判の集結と死刑の執行は少なからず事件の節目とはなるだろうが、今も複数の民事裁判は続いており日々彼らは極少数の理解者と小さく静かに身を固めながら世間との戦いに明け暮れている。
多くの教団関係者が社会に居場所を見出せずオウム真理教に居場所を求めた過去がある。そして、過去のレッテルから社会に受け入れられず極論を突き進むしか無い彼らの今がある。
再び社会が彼らを受け入れず、闇雲に追い詰めるような論調とならないことを願いたい。
【ニポポ(from トンガリキッズ)】
ライターの傍ら、債務者の不動産を競売にかける『不動産執行』のサポートも行う。2005年トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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