45歳が分岐点!? 50代で会社のお荷物にならないために

やれ、「ゆとり世代はガッツがない」「バブル世代はお調子者で仕事ができない」「団塊世代はもらうだけもらった逃げ切り世代」……。とまあ、世代間のディスり合いは常に不毛なものだが、実は今、こっそり会社でお荷物となり疎まれているのが「50代」だという。なぜ今、「不良在庫」化した50代社員の問題が顕在化しているのか? ⇒【前編】『「50代社員の不良在庫化」の背景』

環境やわが身の変化を恐れないこと

 会社で不良在庫化しないためにはどうすればいいのか。これもまたキャリアコンサルタントの植田寿乃氏と弁護士で国際経営コンサルタントの植田統氏は「45歳が分岐点」と口を揃える。
植田統氏

植田統氏

「ポストが絞られる45歳は、競馬でたとえるなら第4コーナーです。ただ、違うのは、会社人生で最後の直線での逆転はほぼ不可能だということ。しかし、セカンドキャリアの充実という観点からは、45歳からの準備でも間に合うこともあります」(植田統氏)  大切なのは、アウト・オブ・デートしないこと。特に最低限、求められるのが、ITスキルだ。 「今、50代で会社のお荷物となっているのは、ここ15年ほどのパソコンの普及に乗り遅れた“IT弱者”。『わからない』と部下に押し付けず、ひと通りのことは自分でできるようにすべき。技術の進歩は速く、一度あきらめると一生追いつけなくなってしまう」(同)  会社が自分のメインステージでなくなったとき、趣味や地域といったつながりもあるだろう。しかし、「仕事をして金銭的評価を受けて社会貢献する。会社人生に浸かってきた男性が手ごたえを感じるのはやはり仕事」(同)だ。 「パソコンをひと通り使えて、会社人生で培った専門分野やネットワークなどの“武器”があれば、定年のない中小企業で長く働くことも可能」(同)にはなる。
植田寿乃氏

植田寿乃氏

 また一方で植田寿乃氏は「人生の“下り方”を考えるべき」と語る。  実際、50代男性に話を聞くと、「まだまだ気力も体力もあるのに、活かせる環境にない」(54歳)と嘆く人もいたが、「職場で気力が少しなくなってきた」(54歳)、「毎日の生活や仕事に関して刺激がない。人生ってこんなもんかなーって思う今日この頃」(57歳)と、衰えを痛感する声は多く聞かれた。 「これまでのように働けなくなる自分に確実になるのです。そのとき、量から質へとシフトチェンジができるかどうか。20~30代は自分と家族のため。40代はリーダーシップを発揮してチームの力を最大限に出す。そして、50代は次世代のサポートです。その意味でも、40代をどう生きたかが50代の生き方を決めます。40代を自分勝手に過ごすと、50代になったら鼻つまみ者ですよ」(植田寿乃氏)  そう考えると、今、50代の不良在庫化した社員を一方的に批判するのは、「天に唾することにもなりかねない」(植田統氏)わけで……。 「外資系企業のように徹底した競争がいいのかというと、それはそれで大変ですよ。僕は、仕事をせずに、寝てたり、散歩したりするのは実害はないので、別にいいんじゃないかな、とも思います(笑)。50代は威張ったり、『俺の経験では……』といった役にも立たない昔話を持ち出さず、謙虚に。そして、若い人は寛容の精神を持って彼らを見守ってあげてほしい」  50代がなかなか謙虚になれないのと同じように、“寛容の心”っていうのも難しいのだけれど。 【植田寿乃氏】 キャリアコンサルタント、ダイバーシティコンサルタント。モチベーションリーダーシップやメンター育成に取り組み、セミナー回数は年間200日に上る。新刊に『女性活躍推進』 【植田 統氏】 弁護士、国際経営コンサルタント。外資系経営コンサルティング会社、法律データベース会社代表を経て、54歳で弁護士として独立。新刊に『45歳から5億円を稼ぐ勉強法』
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