「かぼちゃの馬車」の不正融資問題を契機に「日本版サブプライム」が起きる可能性はあるか?

スルガ銀行の看板

スルガ銀行の看板(東京都) 写真/時事通信フォト

 電撃的に決定した米朝首脳会談は中止かと思いきや、一転、無事に開催された。世界がトランプ大統領に振り回されようとも米国経済の絶好調は続くが、そんな’18年上期の経済トピックをチェック!

スルガ銀行不正融資問題を契機に。日本版サブプライムが起きる!

 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資を巡り、スルガ銀行の不正融資が問題となるなか、経済評論家で楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏は、“日本版サブプライム問題”への発展を懸念する。 「借り手の信用力が十分でないのに、貸し手である銀行が前のめりになって融資した……構図は“本家”のサブプライムローンと同じです」  だが、保守的な地銀業界では珍しく、スルガ銀行はネットバンキングや、利幅の大きな個人向けローンなどで、経営的には優等生ではなかったのか。 「一面の事実ではあるが、個人の弱みにつけこむカードローン融資を拡大したりと、悪しき一面もあった。銀行員は営業ノルマがキツいし、競争もある。銀行員個人は自分の数字さえよければいい、というインセンティブが働く。一方、経営陣は銀行員の不正に気づいても、連続増益を達成したいし、達成すれば株価も上がるので、見て見ぬふりをしたくなる。不正融資をある程度、把握しつつも、『何とかなる(なってほしい)』という気持ちだったのでしょう。この点も、“本家”と同じですね」  こうした金融ビジネスの暴走は、何度も繰り返されてきた。だが、こうした暴走を止める手立てはなく、過剰な信用拡大がバブルを生み、弾けた後は不良債権問題に苦しむことになる。そして、バブルの種はすでにまかれていると山崎氏は危惧する。 「貸家向けローンが拡大しており、すでにバブル期の水準を超えている。さらに、銀行カードローンが膨れ上がり、倫理的にも債権としても懸念がある。金融庁も把握しているが、担保主義で融資に消極的な銀行を批判してきており、どう手当てするのか……心配です」 “時限爆弾”は、いつ炸裂するのか。 ― ゼニズバッ! ―
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