新潟県知事選で勝敗を分けた最後の有効打はあの応援議員のメンツだった!? 新潟県知事戦・戦略分析
2018.06.26
先日、自称保守御用達のまとめ系ニュースサイト「アノニマスポスト」が、戦没者追悼式に登場したスキンヘッドの沖縄県知事の翁長雄志さんを「とうとうズラと決別して戦没者追悼式に登場」「抗がん剤の副作用では無い年季の入ったハゲでワロタ」などのタイトルで記事にしていました。
ご存知の方も多いかと思いますが、翁長知事は膵臓がんが見つかり、現在は抗がん剤なども用いて治療をしている最中です。そんな人に向かって、ヅラだの、ハゲだの、からかって笑えるメンタル。こうした自称保守、いわゆるネトウヨ層の人間性を象徴するような話ですが、これは大分1区選出で自民党の衆議院議員・穴見陽一さんが肺がん患者に「いい加減にしろ」とヤジを飛ばしたメンタルにもつながっていると思います。
しかし、最近ではこうしたヘイトを撒き散らすまとめサイトや議員の存在が、選挙に大きな影響をもたらすようになっています。
先に行われた新潟県知事選では10~50代では自民・公明党を支持する人が多く、60~80代では野党共闘の候補を支持する人が多かったというデータがあります。なぜ若い人たちは自民・公明を支持するのでしょうか。
さまざまな問題が考えられますが、野党側の候補の政策、もっと言うと、候補の存在そのものが若い有権者に「届いていない」ということが大きいと考えられます。自民党側には若者に届けるチャンネルがあるけれど、野党側には若者に届けるチャンネルがないということが大きく影響しています。
与党側の「若者に届ける」チャンネル」とはなんでしょうか? その手がかりになるのは、自民党が新潟県知事選の応援に送り込んできた国会議員の顔ぶれです。
杉田水脈さん、和田政宗さん、丸川珠代さん、青山繁晴さん、小野田紀美さんという、普段からヘイト系まとめサイトなどのリンクを拡散したり、あるいは自身が発信源になるようなラインナップでした。小泉進次郎さんや石破茂さんといったテレビでお馴染みの有名議員ではなく、あえて一部のネトウヨ層から絶大な支持を得ている議員たちを応援に集めたのは、もちろん、戦略があってのこと。あまりに接戦すぎるため、情勢を伝える新聞や通信社が最後の最後まで「どちらが勝つか分からない」と言っていた花角英世さんと池田千賀子さんとの間に約3万7000票という差がついたのは、最終日にこれらの議員を送り込んだことが有効に機能したことも一つの要因ではないかと思います。
実は、同じ日に行われた中野区長選でも、元在特会のメンバーで、今でもTwitter上で差別発言を繰り返している吉田康一郎さんが立候補し、無視できないほどの得票数を獲得しており、日本のネトウヨ化は深刻で、選挙にも大きく影響し始めているのです。
改めて分析してみると、杉田水脈さんや和田政宗さんは若いネトウヨから絶大な支持を得ており、「若者に訴える力を持っている」というのは無視できません。ネトウヨの若者たちが杉田水脈さんや和田政宗さんをフォローしており、その発言を積極的にチェックしているのです。野党側の国会議員で若者から積極的に言動をチェックされている議員が存在するでしょうか。杉田水脈さんや和田政宗さんは、国会議員としての資質が問われる問題発言を繰り返しながらも、若者たちに情報を届ける圧倒的な力を持っているのです。困ったことに、その情報の多くが事実誤認や「印象操作のためのデマ」だったりするのですが、届ける力を持つ議員がほとんどいない中で、これは「パワー」なのです。そして、これらの議員がなぜ若者に届けるパワーを持っているのか。それは「正義」を掲げているからではないかと思います。
若者がさまざまな理不尽を突きつけられている世の中で、その「正義」が間違っていたとしても、自身を正当化してくれる「正義」を振りかざしてまっすぐ進んでいく人は心強いのだと思います。だから、「日本を守る」とか「日本を愛している」という言葉を「正義」として掲げ、それを前面に押し出す。もし反論してくる人がいれば、それは「日本を守る人を攻撃する人」「日本を愛する人を攻撃する人」ということで、いわゆる「反日」と定義されるようになるのです。国家が危うい方向に行ってたら批判する側こそ国を憂う存在なのに、それを「反日パヨク」と表現するのは、こういったところにあるのではないでしょうか。
新潟県知事選で自民党が送り込んだネトウヨ議員は有効に機能した
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