持たずに借り続けることが大きな負債となることもある
不動産関連の業界に片足を突っ込んでいると、よく質問されるのが、賃貸にすべきか購入すべきか、マンションにすべきか一戸建てにすべきなのかという問題だ。
こういった質問をしてくる時点で自分の考えが裏付けされることを望んでいる。もちろんそれは否定しない。
ただ、この仕事をしているとわかるのが、日本の木造住宅は想像以上に耐久性があるということ。
悪徳リフォーム業者の存在でも分かるように、実際はリフォームも定期メンテナンスも屋根の張替えも外壁塗装も特段必要はない。
業者が様々な不安を煽ってお金を使わせようとしているだけだ。ノーメンテナンスで生涯を終えていく人は山ほどいる。
それでも心配ならYouTubeでメンテナンスや補修の方法を見ながらDIYでやってみればいいだろう。
賃貸であれ購入であれマンションであれ一戸建てであれ、大抵の人は新築あるいは築年数の浅い素敵で綺麗な物件を念頭に置き、夢の暮らしを膨らませている。
ここで一つ思い描いてみて欲しい。自分の人生が立ち行かなくなる可能性、突然病魔に襲われる可能性、何らかの理由で借金を背負う可能性。
その時、手元にある資産と呼べるものはなんだろう。最後に頼れる資産はなんだろう。まだ人々が不動産に価値を見いだせている以上、不動産を担保にお金が借りられる以上、不動産は大きな資産だ。人生に躓いた時に何らかの助けになる。購入とはそういうことだ。
そして、付加価値とブランディングがあろうがマンションは切り売りでしかない。途中売却の意図があり立地的利便性を一時的に求めているのであれば良いが、終の棲家とするには保守管理費や修繕積立金は住宅ローンが払い終わった後も無限に続く。
今や少しお金を貯めれば現金一括購入も可能な首都圏通勤圏内の中古戸建ては山ほどある。
ありがたいことに現状の固定資産税は築年数が経過した戸建てをほぼ無価値と判断してくれる。例えば首都圏近郊の駅徒歩15分という極小住宅であれば年間に支払う固定資産税が1万円以下というものもある。
収入は細りながらも時間的ゆとりは増え、さらに「コスパ」という考え方が勢いを増す今、豪華な物件で住宅ローンや管理費に縛られながら生きることにそろそろ異論が出てきても良いのではないだろうか。
雨風がしのげれば良い。家族あるいは独り身で慎ましくも楽しく暮らせれば良い。人生の窮地を迎えても寝起きできる場所さえあれば良い。
抱える負債は少なければ少ないほど、人生に躓く可能性は軽減出来る。
物を持たないという生き方が長らく人気のようだが、その生き方は本当にコスパが良いのだろうか。持たずに借り続けることが大きな負債となることもある。
流行り言葉に踊らされ、むやみに資産価値のあるものを捨てていくことは、身軽になりさえすれば良いと服を脱ぎ捨て、裸で茨の森へと突き進むに等しい行為ではないのだろうか。
【ニポポ(from トンガリキッズ)】
ライターの傍ら、債務者の不動産を競売にかける『不動産執行』のサポートも行う。2005年トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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