メディアスクラムで壊される犯罪被害者・加害者家族の日常

いつ、自分自身も加害者家族になるかわからない

 視聴者・読者であるわたしたちも、マスコミの行き過ぎた報道やその情報の受け取りに方ついて、考えていく必要があるように思います。  そもそも過剰な取材をするのは、良いネタを掴んで視聴率や販売部数を上げるためです。仮に、わたしたちが人の不幸に関することを知りたいと望めば、マスコミはこぞって不幸な情報を集めます。  ゴシップ報道のように、個人のプライバシーを暴露してバッシングする記事をわたしたちが求めれば、プライバシー侵害に苦しむ人が今後も後を絶たなくなります。  マスコミの報道姿勢に疑問をぶつけると、マスコミの方は「いやあ、見る人がいるからね……。視聴率を見て、何を取り上げるか決めているんですよ」と言います。  視聴者・読者の多くが冷静になり、センセーショナルな報道に見向きもしなくなれば、必然的にマスコミの行きすぎた取材もなくなるのではないでしょうか。  現在のマスコミの報道のあり方を変えていくにはどうしたらいいのか、よく考えます。わたしには何の力もありません。でも、できることがあります。  報道被害にあったことを黙らないこと、報道のあり方に疑問の声をあげることです。少しでも多くの人が報道に対し、「おかしい」と声を上げれば、状況は少しずつ改善していきます。マスコミの方と話していて思うのは、考えていた以上にネットの声や読者、視聴者からのフィードバックを気にしているということです。  明日には、自分の親族や知り合いが犯罪の加害者や被害者になるかもしれない。もしかしたら、犯罪に巻き込まれるかもしれません。自宅の近くで事件が起こったとしたら、それだけで日常が奪われてしまいます。  わたしもある日突然、加害者家族とされ、マスコミの過剰報道により、傷ついてきた一人です。12歳までわたしは、マスコミに追われることがあるなど、夢にも思ったことはありませんでした。  もし、自分が犯罪に巻き込まれ、注目を集めてしまったらと、一度考えてみていただきたいです。  関係ないと思っていらっしゃる皆さんが「自分も報道被害にあうかもしれない」という意識をもって、報道を見るようになったとき、報道のあり方は変わっていくのではないでしょうか。 ◆◆◆◆“アーチャリー”松本麗華の視線 第2回◆◆◆◆ 【松本麗華】 文教大学臨床心理学科卒業後、産業カウンセラーの資格を取得。心理カウンセラーとして活動する他、執筆や講演、ヨガのインストラクターもしている。日本産業カウンセラー協会、日本人間性心理学会所属。自身の半生を振り返る手記『止まった時計』を上梓。実の父親である麻原彰晃は複数の精神科医から外的な刺激に反応することができない「昏迷」という状態にあるとされ、治療されることなく裁判が終結。10年以上、面会ができていない。現在も、父の治療と面会を求め続けている。健康情報とお得情報、割引クーポンが大好き。 ブログ http://blog.asahara-kousoshin.info/ インスタグラム https://www.instagram.com/rikareikamatsumoto/ Twitter @asaharasanjo
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