足立区vs自民党都議の「中学生からの性教育」論争を欧米人はどう見たか?

粘土の人形で自慰行為も教育

 では、進歩的な教育モデルが世界中に知られるスカンジナビアではどうか? 「性教育は絶対欠かせないし、特に日本には必要だと思う。ノルウェーでは、小学校高学年からセックスについて学ぶわ。私の場合は中学校で粘土の人形を使って、自慰行為について教わったのを覚えてる。あれはちょっと気まずかったけど(笑)。性教育に反対する人はバカで、世界の現実をわかってないと思う。セックスを教えることは大切だし、いろんな研究結果を見ると、知識と教育が増えるほど、10代の望まない妊娠が少なくなることは証明されてる。セックスする回数は変わらないか、どういう結果に繋がるか知っている分、多少減るぐらい」(ノルウェー人・女性・32歳)  自分が妊娠してしまう可能性があるだけに、特に女性は性教育の重要性をひしひしと感じているようだ。 「かなり小さい頃から、セックスや避妊、性病について教わって、すごく役に立った。たしか学校では8歳のころに教わったと思う。もちろん、それより前に年上の兄や姉からセックスについての話は聞いてたし、テレビやインターネット、ポルノの情報も知ってた。授業ではバナナにコンドームを着けたりしたわ。みんなずっと笑ってたけどね。今の時代はみんな音楽やソーシャルメディア、雑誌の情報に晒されてるから、小学校低学年から性教育をすることはスゴく重要だと思う。知らなかったり、『いやらしいことだ』と思って育ったら、大きくなってセックスに触れたときおかしくなるはず。日本には変なポルノが多いけど、それも性教育とかがしっかり行われてないからじゃないかな」(イギリス人・女性・33歳)  このご時世、セックスについて触れないまま育つのは不可能だろう。どうやって避妊するのか? 性感染症を防ぐにはどうすればいいのか? 正しい知識を知らないまま、アダルト動画や成人漫画でセックスを“学ぶ”現状は不健全だ。 <取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会