受信最大988Mbpsや5CAに対応したスマホとしてHUAWEI P20 Pro HW-01K、Galaxy S9 SC-02K、Galaxy S9+ SC-03K、AQUOS R2 SH-03K、Xperia XZ2 SO-03K、Xperia XZ2 Premium SO-04Kが発表された。いずれもLTE DLカテゴリ18に対応する。
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サムスン電子製のGalaxy S9 SC-02K (左)とGalaxy S9+ SC-03K (右)
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シャープ製のAQUOS R2 SH-03K
LTE DLカテゴリ18の理論値は受信最大1.2Gbpsであるが、それは全搬送波がFDD-LTE方式で20MHz幅の帯域幅を確保できた場合に実現できる。実際に豪州では3搬送波ともFDD-LTE方式で20MHz幅を確保し、3CAに256QAMや4×4 MIMOを3搬送波で適用して世界最速の受信最大1.2Gbpsとした携帯電話事業者が存在するが、技術の組み合わせ自体はNTTドコモも同じと言える。
ソニーモバイルコミュニケーションズ製のXperia XZ2 SO-03K (左)、Xperia XZ2 Compact SO-05K (中)、Xperia XZ2 Premium SO-04K (右)
NTTドコモは送信の通信速度も高速化した。従来の16QAMと比べて1度に運べる情報量を増やす64QAMを導入し、1.7GHz帯では従来の送信最大50Mbpsから送信最大75Mbpsとなる。
LTE ULカテゴリ5に対応した端末で送信最大75Mbpsとなり、HUAWEI P20 Pro HW-01K、Galaxy S9 SC-02K、Galaxy S9+ SC-03K、AQUOS R2 SH-03K、Xperia XZ2 SO-03K、Xperia XZ2 Premium SO-04K、Xperia XZ2 Compact SO-05Kが対応する。
送信は当初の計画より前倒しで高速化した模様で、一部ベンダの基地局から64QAMを有効化して順次拡大するという。2018-2019年冬には送信100Mbps超への高速化も予告しており、送信でもCAを導入して64QAMと合わせて送信最大131.25Mbpsほどに達すると思われる。
新商品のラインナップではHUAWEI P20 Pro HW-01Kがひときわ注目を浴びた。中国の華為技術が満を持して投入した旗艦スマホで、背面には3眼カメラを搭載する。日本ではNTTドコモが独占で取り扱う。
華為技術製のHUAWEI P20 Pro HW-01K
これまで、華為技術はNTTドコモにタブレットなどを納入してきたが、スマホは2013年夏以来で約5年ぶり。過去にNTTドコモが華為技術製のスマホを発売した際は、悲惨な結果に終わった。しばらく、華為技術は携帯電話事業者を介さないSIMロックフリー市場を中心に日本でスマホを販売してきたが、その間にカメラ機能を筆頭にスマホの性能や完成度を高めるなど躍進した。日本のSIMロックフリー市場でも存在感を高めているが、世界でも認められており、メーカー別スマホ出荷台数では世界2位も射程圏内に入った。NTTドコモが華為技術製のスマホを取り扱わなくなった理由は十分に納得できるが、HUAWEI P20 Pro HW-01Kを手に取ると約5年ぶりの取り扱いも納得という印象だ。
一方、新商品のラインナップに華為技術と同じく中国・広東省深圳市に本社を置く中興通訊(ZTE)からは1機種もない。中興通訊は米国政府より制裁を受けて、主要な事業の停止に追い込まれた。中興通訊に対する制裁について、NTTドコモ側は新商品のラインナップへの影響を否定したが、新商品の発売前には認証機関より認定を受ける必要があり、中興通訊がNTTドコモ向けに新商品を準備していた形跡を確認できる。どうやら制裁の発動後に発表を断念したようで、中国企業で明暗が分かれた格好だ。
<取材・文・撮影/田村和輝>
たむらかずてる●国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報に精通。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ