サウジ王宮へのドローン飛来騒動は、クーデター未遂だった!? 騒動後、王子が姿を見せずそんな噂が拡散

白石和幸
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photo by White House(Public Domain)

 4月21日の夜に首都リヤドの王宮付近で飛来して来たドローンを王宮の警備兵が撃墜したというニュースが世界に報道された。ところが、この出来事はクーデター未遂であったという可能性が強まっている。その周囲の市民からの情報でも銃撃戦があったという報告もある。

 クーデター未遂説が濃厚になっている理由は、その日を境にムハンマド・ビン・サルマン皇太子(以下、MBS)が国民の前に姿を見せなくなっているからである。いつも積極的に報道メディアに自己をアピールしているMBSがひと月以上姿を見せない状態が続いている。一部の報道メディアは、MBSはその時に2発の銃弾を受けて死亡した、或いは重傷だという憶測が飛び交うようになっている。

 それを更に裏付ける情報として、2週間前にポンペオ米国務長官が急きょリヤドを訪問してMBSと会談を持ったとされているが、両者がその時に一緒に写っているはずの写真も公開されていない。また、つい最近のサルマン国王が出席しての閣僚会議にも国防大臣のMBSは欠席した。

 この様な一連の出来事からMBSの死亡説あるいは重傷説が一部報道メディア(電子紙)で取り上げられるようになっているのである。(参照:「Hispan TV」、「El Intelecto」、「Valuewalk」、「Daily Pakistan」)

 ただ、上述電子紙『valuewalk.com』が指摘しているように、仮に死亡していたとしたら、政府がそれを長く隠し続けることは不可能であるとしている。銃弾を受けたと推察されている4月21日から既にひと月近く経過しているのである。同紙は、MBSが米国高官との会談にも応じなかったことも報じ、そこから彼が重傷を負っているように思われると、述べた。

サウード家の内部のお家騒動

 今回の出来事はサウード家の内部でMBSの王位継承に反対する動きが次第に高まっていることを示しているようだ。

 MBSはサルマン国王の第3夫人の長男で、サルマン国王がリヤドの県知事を務めていた時に父親のアドバイザー的な存在であったが、サウジの政界では全く無名の人物であった。サルマンが国王になってからMBSはサウジの政界で彗星のごとく現れて国王の庇護のもと頭角を現すようになったのである。

 王位継承権をMBSに譲位させられたビン・ナーイフ皇太子は、王宮近くで発生した事件の数日後に「王宮の近くで起きた出来事は王室のメンバーの間でMBSが挑発した衝撃から目覚めているのだ」とツイートし、「この出来事は偶然発生したのではない」と断定したのである。更に、最近のツイートでも彼はMBSの改革と政治を厳しく批判するようになっている。(参照:「El Intelecto」)

 サウード家の王子たちの間でMBSへの不満が顕著になったのは、2015年にイエメンに武力介入を決めて以来、その解決が長引いているからである。この決定は国防相の彼の独断によるもので、それが起因のひとつとなってサウジの財政を苦しいものにしているのだ。勿論、財政難の一番の要因は原油価格の下落である。

 その結果、サウード家の7000人近くの王子に支給していた報酬も削減を余儀なくさせられているという。国王の兄弟らへの月額27万ドル(2900万円)からサウード家の一番遠縁に支給される800ドル(8600円)までの支払いが慣例になっており、その為の予算枠が財政難で支障をきたしているのである。

 以前は水道や光熱費まで政府が負担していたが、これは廃止された。これもMBSへの不満となっている。(参照:「Arabia Watch」)

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他の王子をホテルに拘束

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