それではこのキム・トッラ。いかなる人物なのかというと……。
2009年から2012年にキム・トッラがカタルーニャのデジタル数紙に寄稿した論文の中には次のような表現がある。
<腐った肉を食う人種、毒へび、ハイエナ、人間の形をした獣>。これは、スペイン人を中傷してこう表現しているのだ。また、<「カタルーニャでスペイン語喋るのは全く自然ではない」><「カタラン語を話さないのはカタルーニャに背を向けることを意味する」><「このまま、ここに数年住むようになると、スペイン人のように馬鹿になってしまう危険性がある」><「恥という言葉はスペイン人の間ではもう可成り以前に抹消された言葉だ」><「1714年からスペイン人に占領されて我々は住んでいるのだ」>といった誹謗中傷でも書かれている。このような差別主義者がカタルーニャの州知事になったのである。(参照:「
El Mundo」)
キム・トッラは州知事に選任されるための議会での先日の演説では、カタルーニャ共和国を建国することを誓い、カタルーニャ大使館の復活、そしてカタルーニャ最高裁、カタルーニャ税務局などを設け、またスペイン最高裁によって違法とされて廃棄された16ある条項を復活させると述べた。
この16の条項は、全て最高裁が憲法違反だという判決を下したもので、当初はプッチェモン政権は敢えて実行しようとしたものだ。これが原因となり、スペイン政府は国家の統一を乱す反逆行為だと見做して憲法155条を適用してカタルーニャの自治機能を中断させたのであった。その条項をキム・トッラはまた持ち出して実行しようとしているわけである。
スペイン政府に明らかに背こうとするキム・トッラの姿勢に対して、ラホイ首相は新政権が違憲行為に走ろうとするのであれば「新しく155条を適用してカタルーニャの自治機能を再度中断させる。しかし、今度は州議会選挙も実施させない」と釘を刺した。(参照:「
Voz Populi」)
しかし、キム・トッラ新知事の挑発的な姿勢は変わらない。さらには、なんと閣僚として、現在刑務所に拘束されていたり、逃亡中の前長官らを任命し職務に復活させよういう考えをもっているのである。この考えには、さすがに連立政権を構成することになるカタルーニャ左派共和党は、違憲に繋がることを警戒して同党所属の解任された前長官は再度閣僚になることを拒否した。
なぜわざわざスペイン政府を挑発するかのような「前長官を職務復活」させようとしているのか?