どちらがホンモノ? 新潟県知事選をめぐる与野党の“県民党争奪戦”

横田一
花角

与党側候補としての出馬要請を受け、東京・上野の新潟県人会館で取材陣に囲まれる花角英世氏(5月9日)

 世界最大級の原子力発電所、東京電力「柏崎刈羽原発」再稼働を左右する新潟県知事選挙(5月24日告示・6月10日投開票)が、与野党激突の“天下分け目の決戦”になることがほぼ確実になった。与党陣営は元副知事で海上保安庁の花角英世次長を早い段階から本命視。政党色を薄めるために、急造団体である「新しい新潟を考える会」を介して出馬要請を進めていた。

 株式市場も、安倍自民党の県政奪還の可能性に反応。「『買春』女子大生の告白」と銘打った『週刊文春』4月26日号の記事で米山隆一知事が4月20日に辞任表明をすると、「自公系新知事誕生で再稼働容認に転じる」との期待感から東京電力の株価は上昇した。「福島原発事故の検証が先決」「避難計画が不十分な再稼働反対」と訴えた米山県政下では、東京電力が経営改善の切り札として熱望する柏崎刈羽原発の再稼働は絶望的だったためだ。

原発再稼働を進める安倍政権との対決姿勢を露わに

森ゆうこ氏と池田氏

5月8日、野党側候補としての出馬会見を新潟県庁で行った池田千賀子県議(右)と、同席した菊田まきこ衆院議員(左)

 米山氏の突然の辞任に対して、野党陣営には「これが本当の“新潟ショック”」(前回県知事選で選対本部長を務めた森ゆうこ参院議員)と動揺が広がり、「候補者選考難航」「出遅れ必至」と見られていた。しかし5月8日14時に電撃的な緊急会見を開き、柏崎選出の池田千賀子県議が統一候補として出馬することを発表したのだ。

 1961年に柏崎市に生まれた池田氏は、1981年から初の歯科衛生士として柏崎市役所に約20年間勤務した後、2003年から柏崎市議を3期務め、2015年に新潟県議会選挙で初当選。県庁内で行われた記者会見には、野党統一候補として名前があがっていた菊田まきこ衆院議員(新潟4区)が池田氏とともに現れた。

「高い地位にある優秀な官僚ほど、官邸や権力者の意向に逆らえず、記憶喪失になったり、記録やデータがなくなったり、改竄したりということが起こっています。新しい県知事には、こうした総理官邸のご意向に従うような人ではなく、地域の中で庶民の声に耳を傾けられる方になっていただきたい。池田千賀子さんが最もふさわしい方だと考えました。『原発再稼動を阻止してほしい』という県民の願いを受けとめて、大変悩まれましたが、決意をしていただきました」(菊田氏)

 また菊田氏は「さまざまな立場の団体や政党に幅広く声をかけて、“県民党候補”のように池田氏を支える態勢にしたい」とも語り、野党が結束して支援することを示唆。池田氏も決意表明で、原子力規制委員会の“お墨つき”(新規制基準合格)で再稼働を進める安倍政権への対決姿勢を露わにした。

「福島原発事故の検証も終わらないまま、福島の皆様の苦しみに対する責任を誰も取らない状態の中で、『新しい規制基準を作りました。この基準に適合したから合格です』といった結果が、私たちの前に突きつけられています。『自治体が作った計画で、安全に避難ができる』『避難した人が故郷に戻って元どおりの生活がすぐにできる』と信じている市民は、少ないのではないでしょうか」(池田氏)

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野党側が機先を制す

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