中国の入国時外国人指紋採取がついに全土実施へ。日本領事館・大使館の対応は遅れる

5月1日から外国人の指紋摂取が始まった遼寧省の瀋陽空港

 中国はメーデー連休初日の5月1日から昨年2月から順次導入している入国時における外国人の指紋採取を大連や瀋陽、ハルビン、延吉などの中国東北3省の各空港でも始めた。2017年2月10日に深セン空港から試験的に開始された外国人の指紋採取だが、数か月ごとに拡大していき、5月1日でほぼ中国全土の主要都市で導入されたことになる。  中国が実施する外国人の指紋採取は、入国時のみ実施されて出国時はない。採取の対象は、14歳から70歳までの全外国人で、外交官と6か月以上の長期滞在者が登録可能となる自動化ゲート対象者は除外される(※自動化ゲート登録時には指紋など生体情報採取はある)。  実に中国らしいのは、発表のタイミングである。昨年の深センでのスタート時は、前日の2月9日に決定、発表とかなり突発的だった。今回の東北3省での実施はさらにその上を行っていて、瀋陽の日本領事館が発表したのは、実施から「2日後」の5月3日、在中国日本国大使館がウェブサイトで正式にアナウンスしたのは5月7日になってからのことだった。外務省は、1日からの東北3省での指紋採取開始を事前告知することができなかったわけである。

在中国日本国大使館が7日正式に出した中国全土における入国時の指紋採取開始について

知らずに大連に着いた出張ビジネスマンも当惑

 1日に大連空港へ到着した日本人出張者は、「いつもと違うから何かと思ったら指紋採取が導入されていました。機械から流れるアナウンスは日本語で、隣の列は英語のようなアナウンスが流れていたのでパスポートによって言語が変わるようです。指紋採取の手順は、左手、右手、両親指と他の国と同じような感じでした。ただ、初日で慣れていなかったのか、普段よりイミグレーション通過に時間がかかり多少イラつきました。今後、改善されるといいのですが」と導入初日の大連空港について話す。  中国政府は、「外国人の指紋採取は主要国がすでに実施している」と説明している。確かに、現時点でイミグレーションで外国人が指紋採取される国としては、アメリカ、日本、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、カンボジア、モンゴルなどが挙げられる。  日本も、アメリカがテロリスト入国防止対策で導入した後に導入し、在日朝鮮・韓国人など特別永住者を除く全外国人から指紋採取している。配偶者が日本人である外国人も採取対象だ。日本人でも自動化ゲート対象者は両手人差し指の指紋を登録して以降はパスポートと指紋照合でゲートを通過する。  先ほど、導入初日の大連空港が不慣れで混雑したという話を紹介したが、指紋採取と関係なく入国審査が厳しいことで知られるのがアメリカ、イギリス、アイルランドなどである。特にアメリカはトランプ大統領になってからさらに厳しくなり、旅客機が到着して入国審査を終えるだけで1時間以上かかることも珍しくない。
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記者もアメリカ入国時に3時間足止め
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