某レース場の名物となっている住み着いたネコ。昔と比べて空気は穏やかになっている面もある。このあと筆者の足元をスリスリしてきた。
ギャンブルというだけで嫌悪感を持つ方は多いだろう。ギャンブル依存症の話題が多い昨今では当然だとも言えよう。
将来的に日本にもカジノができる見込みだが、嫌悪感を持つ方々からすればなんでそんなことしなくちゃいけないんだろうという気持ちだろう。IRはそもそもカジノで収益を立てつつ、展示場やホテルなど、現在日本で不足している施設を運営する総合的な施策なのだが、どうしてもカジノができる、となれば治安は大丈夫なのか強い不安を覚える人は多い。
ただ、日本にはすでに数多くのギャンブル施設が存在する。公営競技がそれだ。競馬場は休催中の姫路を入れて中央・地方で25か所、ボートレース場は24か所、競輪場は休催中の千葉・熊本(再開見込みが立たず場外機能も現在はない後楽園の休催は除く)を入れて43か所、オートレース場は5か所で、合計97か所のレース場が日本には存在している。これに加えて各地の場外発売施設も入れると、200を超えるギャンブル施設が国内に存在することになる。
カジノよりも先に、すでに多くのギャンブル施設が存在しているとなれば、実際にそんなギャンブル施設の近隣で生活をしている人達に「治安はどうなのか」など聞いてみることで、将来のカジノ建設への課題や、ギャンブル依存症への問題が見えてくるのではないだろうか? ということで実際にいくつかの公営競技場付近で生活している方々に話を聞いてみた。
「昔から比べて変な人は減ったが、夜中まで居るようになった」
ナイターレースが始まった直後の某レース場
「今は昔ほど客が来ないので、昔のように集団で怖い人が移動するようなことはないですね。かなり昔には商店で商品が盗まれたみたいな話があったのですが、今はそもそも個人商店がなくなってコンビニになっているので、そういった話もあまり聞きません。
ただ、ナイターレースが始まってから夜遅くまでダラダラと客の流れがあるので、そういった意味では少人数でオジサンが常に家の近くを歩くのはあまり気分はよくないですね」(首都圏某レース場近辺の住人A)
住人Aさんの近隣のレース場は最寄り駅から無料送迎バスはあるものの、徒歩でも移動が可能な距離でありナイターレースを開催しているために夜8時過ぎまで人の出入りがある。ネット投票の普及や場外発売所の増加で、1レース場あたりの客の数は減っており、大昔にあったような集団暴徒化の可能性はほぼないと言っていい状況ではあるものの、日中は場外、夜はナイターレースと長時間レース場が営業するようになり、長時間ギャンブラーが歩き回る現状には不満が生まれているようだ。
ただ、別の意見にはインフラ面の整備を喜ぶ声もあった。すでに廃止となった花月園競輪場の近くに住んでいる住人Bさんは次のように語る。
「住宅街でしたがJRの最寄り駅からは非常に遠い場所だったこともあり、あまり歩いて来場する人も少なく送迎バス利用か京急利用者が多かったので普段の生活で恐怖を感じることはなかったですね。また、携帯の電波が弱い地域でしたが花月園競輪が建て替えら得られたときに電波が非常に良好になったんですよ。廃止になった現在も恩恵の名残はありますね」(Bさん)
重要なのは近隣住民の生活圏にギャンブラーが歩き回るかどうかで見解が分かれるようである。