半数ほどの北レスが閉店した瀋陽コリアタウンでも北レス復活は近いのか
3月末の金正恩委員長と習近平主席との中朝首脳会談で停滞していた中朝関係が改善の兆しを見せているとは言え、対外的には中国は北朝鮮へ制裁継続中であり緩めたことにはなっていない。
瀋陽で北とのパイプを持つ朝鮮族実業家は、北朝鮮政府交易担当者からビザが厳しくて経済活動が大変だという話を聞いている。この担当者によると北朝鮮政府系の人間でも最長半年くらいのビザしかもらえず、旅行会社関係者などだと1か月有効の観光(L)ビザで中国へ滞在し、毎月、丹東から北朝鮮の新義州へ出国して再入国を繰り返していると愚痴っていたというのだ。
しかし、この話は、中国の制裁はまだまだ厳しいことを伝えるため誇張した話かもしれないし、そもそも観光ビザで業務をすること自体が違法行為だ。いくら同じ民族であっても容易に真実は打ち明けず情報統制を敷いている可能性は拭いきれない。
その朝鮮族実業家によれば、北朝鮮政府交易担当者は基本的に誇張まじりで愚痴を言っていただけだが、ある点だけは確実に認めたことがあるという。それは、一時期、減少した瀋陽や大連などに駐在する北朝鮮人が増加傾向あり家族帯同者も新たに着任している点だ。
昨年秋から1月にかけて多くの北朝鮮労働者が帰国し、中国政府は、北朝鮮人に対して新規の労働ビザを発給しないと報じられてきた。その政策が継続されているのであれば、復活したとはいえ別会社になった柳京飯店での労働ビザはどうやって発給されたのだろうか(転職と同じ扱いなので、原則労働ビザは再取得が必要)。
中国政府は、例外事項を設けたり法解釈を変更して事実上、北への制裁を緩めている可能性は大いにありそうだ。
前出の朝鮮族実業家は、昨年12月、北朝鮮の貿易会社関係者から操業停止しているはずの開城工業団地が稼働し始めたので衣類など軽工業製品などを輸出できないかと相談を受けている。中国の関係部署に確認したらその時点では北朝鮮からの輸入は禁止されていたので断ったが、すでに勝手に稼働させているのではないかと話す。
「先日(4月27日)の文在寅大統領の満面の笑顔を見ていると開城工業団地の全面再稼働や金剛山観光の再開は時間の問題ではないでしょうか?」(同)
米朝会談へ向けて北朝鮮からの中韓への猛アプローチがさらに加速しそうだ。
<取材・文/中野鷹(TwitterID=
@you_nakano2017)>