人権を軽んじ、国家を私物化する為政者に学生が蜂起! 広がるニカラグアのオルテガ大統領退陣運動

 反政府派が集まった「民主主義へ広い戦線(FAD)」も現在起きている騒動に乗じて勢力を取り戻しており、リーダーのビオレタ・グラネラは「唯一、二つの出口しかない。オルテガが大統領を辞任することか、或いは自由で透明な選挙を即刻実施することだ」と述べている。(参照:「Excelsior」)

「今、この国は正義を求めて戦っている」

 オルテガ大統領は国家の騒乱が続いている5日目になって社会保障制度の改正プランを取り下げると言明したが、反対派は暴動が鎮静化したらまたそのプランを引き出して来ると思っており、オルテガ政権を打倒するまで問題は解決しないと判断しているようだ。抗議に参加している学生のひとりエリック・ローチャは「独裁者のいないニカラグアを望んでいる。人権を尊重しない現政府のせいで、我々が苦しむのは公平だとは言えない。大統領が言っているような対話はこの国には存在していない。それは我々を嘲笑する発言だ」と述べて、オルテガ政権の終焉を要求している。(参照:「El Pais」)  イエズス会の聖テレジア派のジセレ・ゴメスは「今この国は正義を求めて戦っている。平和な行進から始まったのだ。それを政府は今、市民を抑圧するようになっている。大統領はシニックだ。それを自覚していないようだ。私はサンディニスタの改革に参加し、それに期待していた。だから今、裏切られた気持ちで憤りを感じている」と語っている。  始まりは単に社会保障の改正案に反対する抗議だった。しかしそれが、人権を軽んじ、国家を私物化する為政者を引きずり下ろすための運動に発展している。11年間の独裁政権に、市民の不満が一気に爆発したのである。 <文/白石和幸 photo Cancillería del Ecuador via flickr(CC BY-SA 2.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会