中国は、本当にサッカー強国になれるのか? 中国・新皇帝の野望<1>

虹口足球場

中国国内でのサッカー人気が過熱している昨今。上海のスタジアム、虹口足球場も満員だ

 2017年に北京で開催された第19回共産党大会にて、習近平総書記は党規約まで改正し、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」なる文言を書き加えた。  すなわち、習近平皇帝の誕生である。これから十年、あるいは十五年以上権力の座にいるつもりらしい。実現すれば、ロシアのウラジミール・プーチン大統領といい勝負の長期政権となる。  そんな習近平がかねてから公言している野望がある。「サッカー大国」の建設である。  本当にそんなことが可能なのだろうか。所用で中国に行くことがあり、筆者はその機会を利用して中国サッカーの現状を視察することにした。  4月3日。筆者はLCC「春秋航空」で上海入りを決めたわけだが、その際に出発地として選んだのは茨城空港だった。上海行きの春秋航空は羽田空港にも就航しているのだが、出発時間が深夜で、しかも上海到着も早朝でまだ地下鉄も動いていない時間帯である。  しかも、茨城ならここでコラムの一本も書けそうだが、羽田ではネタにならないではないか。茨城空港については、後日改めて詳述することとしよう。  そんなとき、空港内に入ると鹿島アントラーズ対上海申花の横断幕が掲げられていた。ちょうど筆者が上海入りする日、つまり同日夜に試合だという。  常識で考えて、Jリーグも中国スーパーリーグもシーズン真っ最中なわけで、これが親善試合のはずがない。考えられるのはACLだけだ。空港のスタッフもアントラーズのポロシャツやユニフォームを着て雰囲気を盛り上げている。取材記者証も何も用意していないが、行くしかあるまい。  筆者が予約していた宿は上海の銀座か表参道といった趣の南京西路の外れにあるAirbnbである。空港から直行のはずだったが、途中地下鉄が空港へUターンすることを知らず一度逆戻りしてしまったが、とにもかくにも泊まり先のアパートを見つけることができ、すぐに荷物を置いてスタジアムへ直行した。
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中国語ができないままダフ屋と格闘。ようやくスタジアムに
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