その一方でマラソンや各種イベントよりもにわかに北の観光情報として注目されているのが鉄道ツアーである。
平壌から北朝鮮北東の羅先、豆満江を経由してロシアのモスクワへの国際列車ツアーが今春から本格的に始まったのだ。これまで外国人が乗車できる北朝鮮からの国際列車は中国しかなかったが、これにロシアも加わり、モスクワから乗り換えればパリやベルリンまで平壌から鉄道旅行できるようになったのである。
北朝鮮とロシアは元々線路で連結されているも線路規格が異なっているため台車を交換して走行するなど不便だった。しかし、2013年にロシア支援でハサン駅(ロシア)から港がある羅先駅(北朝鮮)まで両国の線路規格に対応する連結工事(4線軌条)が完成するなど、現在、ロシアは鉄道整備に力を入れている。それもあり、一部のロシアの旅行会社ではすでに北朝鮮-ロシア鉄道ツアーを実施していたのだが、今年からその他のツアー会社でもロシアへの鉄道ツアーが解禁されているのだ。
さらに平壌から羅先までの国内列車乗車もできるようになり、鉄道マニアから熱い視線を集めているのだ。
年々観光面の解放や規制緩和が進む北朝鮮だが2018年はどうなる?
旅行会社のサイトを見るとトンデモなく不自由な旅のようで、平壌発7時50分、羅先着が翌日午後2時30分。翌日である。グーグルマップで両駅の距離を見ると約822kmと表示されるので、ちょうど東京から札幌くらいまでの距離を実に18時間以上をかけて移動するまるで昭和の鉄道移動のような旅となりそうだ。
さらに旅行会社のサイトには、注意事項として、「国内列車のため食堂車や車内販売などはなく3食分の食事を自分たちで用意すること。同行するガイド2人分の往復チケット代と2泊分の宿泊費を負担すること」と書かれている。おまけに車内での撮影は厳禁と今どき体験できない苦行鉄道ツアーだ。
そんな秘境探検のような鉄道ツアーであるが、鉄道ファンからの熱い問い合わせが入っているそうで注目されている。
2018年4月に更新された最新北朝鮮ツアー料金を見ると、スタンダードな3泊4日の中国丹東からの鉄道往復ツアーを1人で参加すると約16万円だが、2人になると一気に3万円ほど安くなるなどこのあたりの料金体系も北朝鮮独特のスタイルといえる。
<取材・文/中野鷹(TwitterID=
@you_nakano2017)>