世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)の投資先を、見ていきたい。投資カテゴリー・テーマ別構成比については、衣食住の確保36.1%、環境問題32.7%、生活の質向上31.2%となっている。国別構成比については、上位から、米国46.1%、インド8.2%、ブラジル6.1%である。2018年2月末現在、組み入れ銘柄数は59銘柄である。(参照:
大和住銀投信投資顧問マンスリーレポート)
59銘柄の内、最も構成比率が高いのは、ケニアの携帯電話会社「Safaricom Limited(サファリコム)」(構成比3.4%)である。ジェトロ発表のエリアリポート「
アフリカ フィンテックが未来を変える」によれば、「Safaricom」は、
“「M-PESA(エム ペサ)」というサービスを提供し、利用者は携帯端末を使って送金、光熱費や授業料といった日常の支払いができる。利用者はサファリコムの窓口に行き、送金額と手数料を支払う。その後、送金相手に携帯電話で送金額を伝えるSMS(ショート・メッセージ・サービス)と暗証番号を送る。メッセージを受信した相手は、サファリコムの窓口でその画面と暗証番号を提示すれば、現金を受け取れる。銀行を介しないこの送金法は、銀行口座を持たない貧困層の間で瞬く間に広まった。”
という。
他の投資先の「インパクト投資」のパターンは、再生可能エネルギーによるCO2排出量削減、情報格差解消による経済格差解消、医薬品や遺伝子改良による新興国の飢餓や栄養失調の解消、低金利の住宅ローン融資による低所得者層が家を所有することを可能になどがある。
また、日本企業にも投資している。投資先は、昨年12月に東証一部上場の「カチタス」である。「カチタス」がなぜインパクト投資の対象になるのか、筆者は非常に興味を持ったが、大和住銀は、
“日本のカチタスは、中古住宅を安価で仕入れてリフォームし、世帯年収が低い不動産の一次取得者向けに販売しており、良質の住宅を非常に手頃な価格帯で提供することで住宅問題の解決に努めています。”
と評価しているようだ。カチタスはニトリホールディングスと業務提携しており、2018年1月以降、カチタスが販売する一部の住宅にニトリの家具・インテリア商品を設置し、付加価値を高めて販売するスキームの実現を目指している。
投資家も自身の経済的利益も確保しつつ、より良い世界を作ろうという意志を持つべき時代なのかもしれない。
<文/丹羽唯一朗>