休憩時間に関する質問も増えています。健康維持のため、昼食休憩や残業前の夕方の休憩を取ることを奨励している企業が増えているからのように思えます。質問の多くは、休憩時間は勤務にカウントされないのでしょうか…というものです。
答えは、就業規則に休憩時間が明記されていれば、勤務時間ではないということになります。このように申し上げて、早速、就業規則を確認いただくと、昼食休憩時間は記載されていたが、夕方の休憩時間は記載されていないというケースも散見されます。
働き方改革推進の中で、健康維持のためにしっかり休憩をとりましょうという取り組みが先行し、規定の改定が間に合っていない会社もあるようです。
勤務の柔軟性の観点からは、残業に次いで、休日出勤に関する問い合わせも少なくありません。休日出勤に関する質問の中で、私が最も気になるのは、「休日出勤手当が支給されたり、されなかったりしてよくわからない」というものや、「休日出勤して休日出勤手当をもらったという人もいれば、もらっていないという人もいて不公平だ」という意見です。
実は休日出勤した場合の休日出勤手当の支給の仕方については、大きくわけて次の3通りがあります。
1.休日出勤日の休日を、あらかじめ定めた別の平日に振り替えて、休日出勤手当の支給がない
2.休日出勤日の休日を、代わりの任意の平日に取得し、休日出勤手当を支払う
3.休日出勤日の休日を、代わりの任意の平日に取得できなかったので、1日分の賃金ならびに休日出勤手当を支払う
休日出勤手当の取り扱いについての懸念は、これらの3通りの休日出勤の取り扱いが明確になっていないことが生じているようです。これらのうちどれに該当する休日出勤なのかということが示されていなかったり、明瞭に説明されていなかったりするケースも散見されます。
上記の1の取り扱いは、「あらかじめ定めた別の平日」ということがポイントで、十分に事前のタイミングで、いつからいつまでの日曜日に休日出勤し、その休日を、いつからいつまでの木曜日に振り替えて、木曜日を休日とするというように取り決めることになります。
言い換えれば、例えば、「金曜日の夜、明後日の日曜日に休日出勤してくれ。日曜日の休日を次の月曜日に振り替えてくれ」というような急な休日出勤の指示の場合は、3通りの取り扱いのうち、2か3で運用することになります。
3通りの取り扱いのうち、1を振替休日、2と3を代休と称するのですが、これらの峻別がわかりにくく、会社によっても取り扱いがまちまちになっているということが実情のようです。
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労働基準監督年報によれば、労働基準監督署が臨検した事業所のうち、労働基準法違反が発覚した事業所は69%にものぼり、そのうち51%は労働時間や残業代に関する違反だ。ビジネスにかかわる、まさに基本的な取り扱いなので、自分で就業規則を読んで、残業や休憩や休日出勤の取り扱いについて理解しておくことが望まれます。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第78回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。