Facebookのユーザー5000万人分の個人情報不正利用を内部告発した、CAの従業員であったクリストファー・ワイリーがスペイン紙『El País』と他にヨーロッパの数紙の記者グループとの3月25日の共同インタビューに応じた。その中で、彼はバノンのことを評して「私は自由に調査できあることに魅力を感じて当初入社したが、バノンが(副社長として)来てからは、調査対象は政治のオルタナティヴ右派と呼ばれているものに変化した。それは倫理的な面での変化ではなく、むしろ、明らかに害のある仕事に絡む内容だった」と語っている。(参照:「
El Pais」)
また、このインタビューの中で、CAが存在していなければBrexitは発生していなかったのかと聞かれると、ワイリーは「まったくその通りだ」と答えている。更に、彼は「少なくとも2%の票差で国民投票で勝利したことは重要だった、相当数の(賛成)票を買うために多額の資金が使われた。この国の憲法に照らし合わせ、そしてヨーロッパの将来の為にも我々は今根本的なひとつの事態の前に直面している。即ち、法的に規定されている以上のお金をこの為に使ったということについて調査すべきだ。それに疑いを持っている者もいるからである。(ヨーロッパの)民主制度を市民は信頼できるようにせねばならない。ドーピングをして勝ったとしてもメダルを失うかもしれない。なぜならいかさまをしたからである。メダルを失うということで、全ての過程の正当性が問われるようになる」と述べている。
今回問題になっているCAのデーター獲得の為の対象にされたFacebookについて、スペインの代表紙のひとつ『
ABC』(3月21日付)は「Facebookは『才ある発明』からデーターの『ざる』になってしまった」という見出しで、本文では<我々のデジタル化されたデーターはどこで止まることになるのか? >と述べて強い不信の念を表明している。
更に、同紙は<今年5月からEUでは「EU一般データー保護規則(GPDR)」が発行>されて基本的人権の保護が保障されることになることを報じ、同様にスペインでも<「スペインデーター保護機関(AEPD)が機能している>ことに言及した。
今回の不正問題から英国そして米国でのCAの活動には些か制限があるやもしれないが、今年大統領選挙が予定されているコロンビアとメキシコでは既にCAが活動を開始しているという噂も流れ始めている。(参照:「
Telefono Rojo」、「
El Pais」)
もはやさまざまなプラットフォームに個人情報を提供せねば、人生を快適に過ごせないような環境になっている今。CAのような企業によって、世論が操作されることをむざむざと見過ごすのか?
ワイリーは前出のインタビューでこうも語っている。
「モダンライフにはこれらのプラットフォームの使用がどうしても必要になる。だから、ユーザーが注意するように積極性ある責任をネット提供側がもつべきである」
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。