世界5G覇権戦争……超高速通信がロボット・AI普及を爆発的に加速させる
ロボット製品が5G環境から享受できるメリットは、さらにある。例えば、「低遅延」という特徴は、人間とロボットをリアルタイムでシンクロさせ、協業の範囲を広げてくれる。NTTドコモがMWC2018で公開した「書道ロボット」は、そのメリットを示すモデルケースとなった。
「団体や企業の発表によって数字に差はありますが、5Gは以前の技術に比べて遅延を数分の一、数十分の一というレベルまで軽減できるとされています。今後、遠隔医療や災害の現場で稼働するロボットを、より実用的にしてくれるはずです」(NTTドコモ関係者)
なおNTTドコモ側は、低遅延性がロボットの操縦をより簡単にするともホームページで説明している。従来のロボットには、トレーニングを積んだオペレーターがコントローラーを使って操縦しなければならないという前提条件があった。が、人間―ロボット間の情報の送受信にタイムラグがなくなれば、モーションキャプチャー機器などで体を感覚的に動かすだけで操縦が可能になるというのだ。
一方、サウジアラビアテレコムは、5Gと4Gに接続されたロボットアームをそれぞれ用意。その違いを確認できる展示を行っていた。
「通信速度や送受信データ量が増すのは5Gの利点でではありますが、ロボットの動きがより繊細かつ滑らかになるというのもポイントです」(サウジアラビアテレコム関係者)
なおMWCの会場では、コネクティッドカーやドローンといった、自律移動を念頭に置いた「移動型ロボティクス製品」の関連も目立った。いずれも5G環境によって、安全性と、「多台数同時通信」および「同時制御」の精度向上が見込めるというのが、イベント出展社たちの説明だ。
「5G時代には、人と機械、また機械と機械による接続が爆発的に増えていくでしょう。ファーウェイでは、その新しい時代に想定されうるあらゆる通信環境の必要性に備えています。例えば、複数のドローンが連携して安全かつ効率的に飛行できるような通信プラットフォームも、2020年頃をメドにして提供していきたい」(中国・ファーウェイ関係者)
5Gは、犯罪監視や故交通状況モニタリングなどを複合的に解決する「パブリックセーフティ」や、先端ヘルスケア、フィンテックなども分野でも活用が期待されている。いずれも、上に挙げた特徴が、関連する大量のデータの吸い上げや送受信、IoT機器やAIなどの発展を促すと見られているからだ。
東京五輪が開催される2020年をメドに実現していくとされている5G。その新たな通信環境は、社会をどのように変化させていくのか。その全体像が明らかになる日が、刻一刻と迫っている。
<文/ロボティア編集部>
【ロボティア】
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「人と機械」「機械と機械」の垣根が消える
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