韓国の若者が仮想通貨でドツボにハマる理由は文在寅大統領の“無策”だった

photo by Marco Verch via Flickr(CC BY 2.0)

 G20など国際会議の場でも主要議題にのぼり、その存在感が無視できないレベルに達しはじめている仮想通貨。北東アジアには、その“大国”と呼ばれる、また自ら認める国がある。隣国・韓国だ。  韓国・保険研究院が発行した「国内仮想通貨取引の特徴と示唆点」というレポートによれば、「韓国国内の仮想通貨取引金額は、全世界の約30%を占める」とされている。また、仮想通貨界の基軸通貨であるビットコインの取引額が相対的に少ないというのも、韓国市場の特徴だ。「全世界の仮想通貨取引額でビットコインが占める割合は63.4%だが、韓国国内の取引割合は32.7%」(前出、同レポート)。これは“博打性”が高い「アルトコイン(草コイン)」の取引比率が、相対的に高いという事実を意味する。 「韓国には、規制が厳格な中国から資金が流れてきて取引額が膨らんでいるという実情もありますが、国内での取引額の多さは韓国人の博打好きな気質を象徴しているかもしれません。昨年頃から、巷は仮想通貨でいくら儲かったとか、人生が終わったという話題で持ちきり。詐欺事件なども多発しており、政府や関係省庁は警戒心を高めています」(韓国大手メディア記者B氏)

仮想通貨関連事件増で規制強化案が浮上

 最近、韓国では仮想通貨絡みの事件が横行し始めている。1月下旬には、元金が吹き飛んだことに心を病み30代男性が自殺。また同時期には、「仮想通貨脅迫状事件」なる、新しいタイプの犯罪も発生。事件の容疑者は29歳の男性で、「指定した電子ウォレットに送金しなければ、家族のうち一人を殺害する」という内容の脅迫状を70世帯に無作為に送りつけたという。その他にも、「マイニング機器投資詐欺」「取引所投資詐欺」「ICO詐欺事件」など、仮想通貨と関連した詐欺事件が相次いでいる。なかには、日本円にして200億円を超える被害額が確認された詐欺事例もあった。  そのような状況を、韓国政府や省庁はいよいよ本格的に問題視。1月には、法務部のパク・サンギ長官が「取引所の閉鎖まで視野に入れた規制案を検討する」と、国内取引の全面禁止をほのめかす発言を行った。  仮想通貨大国・韓国も、中国と同じように徹底した規制が行われ市場がなくなってしまうのだろうか――。世界の仮想通貨界のメディアや関係者がそう諦めかけた頃、思わぬ展開が始まった。規制を強める宣言した政府省庁に対し、国民が猛反発。「規制を絶対許さない」と反抗心を露わにしたのだ。  というのも、いかに詐欺事件が頻発しているとはいえ、経済が停滞する韓国で生活する国民にとって、仮想通貨は人生の一発逆転を狙える蜘蛛の糸なのだ。韓国には、「国民請願」という制度があり、20万人以上の国民が同意した場合、省庁幹部が対応を用意しなければならないのだが、仮想通貨規制反対を掲げる発議案は、その返答ラインを数日間でいとも簡単に達成してしまった。なお、過去に20万人以上の支持を集めた発議案は、「青少年保護法廃止」「中絶罪廃止」など、国の重要課題ばかり。いかに仮想通貨への国民的関心が高いか、また規制案への反発が伺い知ることができるだろう。
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