戦死してもロシア軍の戦死者リストにも載れない、シリアで戦うロシアの傭兵の実態

シリア戦でのロシア傭兵戦死者のことを報じるスペインの反戦団体のサイト「En Pie de Paz」

 シリア紛争の終幕への扉は見えないままだ。プーチン大統領が派遣しているロシア軍が戦死するのはプーチン治政の汚点になる。しかし、そんな汚点を作らぬようにする方法がある。そう、傭兵を使えば仮に戦死してもロシア軍の戦死者のリストには載らないのだ。  ロシアには、2014年からウクライナそしてシリアで戦っている俗称「ロシア人覆面戦闘員」と呼ばれている彼らについて調査をしている組織「紛争調査チーム(CIT)」というのがある。このCITが、シリアのデリゾール(Deir Ezzor)地方で2月7日、4名のロシア人が死亡したことを明らかにした。当初、彼らの身元は不明であったが、調査を進めて行くにつれて明らかにされたということをスペイン各紙が報じた。  正に、これがロシア人傭兵が置かれている現状である。ロシア国防省の兵士のリストには存在しないロシア人戦闘員なのである。(参照:「Infobae」)  ウクライナの親ロシア派に加わってウクライナ軍と対戦しているロシア人戦闘員も傭兵である。米国に存在している傭兵組織ブラックウォータ(Blackwater)のような組織がロシアにも存在しているのである。

ロシア政府も資金提供する「民間傭兵組織」

 その組織名は、ワグナー(Wagner)と呼ばれているという。CITによると、ワグナーはロシア政府が創設し、資金も提供していると指摘している。ロシア政府は勿論その存在を認めていない。しかし、CITのリーダーラスラン・レビエフ(Ruslan Leviev)は、ヴラジミール・プーチンがこの傭兵組織を承認している書面に直々署名しているその書類を目のあたりにしたそうだ。この組織本部は北コーカサスの都市クラスノダールに位置しているとされている。(参照:「El Periodico」)  更にCITは、ワグナーの創設者はディミトリー・ウトキン(Dimitry Utkin)という人物で、彼は2013年までロシア軍特殊部隊の中佐だったことを明らかにしている。ワグナーという名前は彼がつけたもので、ヒットラーが好んでいた作曲家がワグナーであったということから、この名前を拝借したという。  ワグナーがシリアで活動するための表看板として使っているのが「エブロ・ポリス社(Evro Polis)」だと言われている。同社の主要業務は一昨年は食料品取り扱い業者となっていたが、昨年は鉱物資源、天然ガス、石油の取引業者に変化し、シリアのダマスカスにオフィスを開設している。  同社にはイブジェニ・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)という人物がパートナーとして加わっていると、サンクトペテルブルグをベースにして中立的な立場での報道に心がけているフォンタンカ紙(Fontanka)が指摘しているという。そして、この人物がプーチン大統領と古い付き合いがあり、「プーチンのシェフ」と呼ばれるくらい彼に纏わる諸事をこなし、軍事関係にまで介入するようになっているというのだ。  その関係から彼が持っている会社は国防省と多数の契約を結んでいると、ある反プーチン組織が今年明らかにしたという。  また、AP通信はエブロ・ポリスとシリアの国営石油公社が交わした契約のコピーを手に入れているという。それによると、同石油公社の売上の25%がエブロ・ポリスが支給されることになっているということを明かにしている。(参照:「El Comercio」)  このような関係から、ワグナーがシリア政府から傭兵として支援要請を受けることは容易であったわけである。
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人知れず犠牲になる市民
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