新卒採用エントリーシートもなし!? 人事評価をやめた会社が採用でも意欲的な挑戦

山口博

採用選考は家の模型を造るだけ

勝沼:通常の面接は一切しません。「My設計図採用」をするだけです。My設計図採用とは、家の模型を作成するだけです。1回目は土台をつくる、2回目は柱をつくる、3回目は屋根をつくる…それだけです。

山口:それで何を見極めようとしているのですか。

勝沼:家づくりが好きか、前例や既成概念にとらわれないか、発想が自由か…似たようなありきたりな人材は不要なので、その点を見極めるだけなのです。

山口:会社の説明はしないのですか。

勝沼:限られた説明をするのみです。長々と説明をする代わりに、入社してからの大仕事である、家を建てるということを体験してもらうことこそが、会社の説明をすること以上に意味があると思うのです。

山口:設計士や技術者だけでなく、営業部門や管理部門の採用もするのですよね。すべての職種の人に家の模型を作成してもらうのですか。

勝沼:同じです。営業担当者も管理部門のスタッフも、どんな職種でも、家づくりが好きかどうかという点が、最も重要な判断基準ですから、My設計図採用を全職種で行います。

山口:独創性があるか、家づくりが好きかという点をプロセスで見極めて、潜在的な能力があるかどうかで選考する方法のように思えます。入社後の研修でカバーするという考え方ですか。

勝沼:新入社員研修は、マナー研修など基本ビジネススキルの研修も行いますが、叩き込むべきことは、基本動作だけであって、それを実際に展開したり応用したりする能力は、ひとりひとりの新入社員の潜在的な能力にかかっていると思うのです。

従って、文書の書き方から話法の一言一句まで手取り足取りを教えるのではなく、センスを磨くということにフォーカスしているのです。新入社員研修では、美術館に行き、芸術性を磨くのも、そのためなのです。

<対談を終えて>

山口博 志望動機欄に美辞麗句を何百行連ねるよりも、スクショを送るというひとつの行動の方が、家づくりが好きな人を集めることに効果があり、会社概要や会社説明の数十頁費やすよりも、家の模型をつくるだけの選考の方が、独創性を図ることに意味があるということを示す実例のように思います。

百行の文字よりもひとつ行動の方に意味がある、理屈や理論や解説よりもひとつの行動ができるかどうかで人材を見極めるモデル的な取り組みとして、目が離せません。(モチベーションファクター株式会社 山口博)

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第74回】
<文/山口博>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。

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