止まらぬ韓国の「Metoo」旋風。脱北者に「これが資本主義だ」と言ってセクハラ行為

安達夕
 韓国・平昌オリンピックにおける北朝鮮との南北合同入場や、女子アイスホッケー合同チームの組成、北朝鮮高官の韓国来訪などで、一気に南北融和ムードが盛り上がった韓国。

 韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、オリンピックを機に北朝鮮との距離を大きく詰め、北朝鮮の核開発を封じ込めるべく、当事国の北朝鮮だけではなく、アメリカや周辺諸国との外交を積極的に展開している。

 そのような中、韓国では、北朝鮮を捨て韓国に渡った脱北者らが注目を浴びている。

 1987年に北朝鮮の金萬鉄氏一家が「自由大韓」を求め九死に一生で脱北をした際には、韓国政府も政治的プロパガンダとして彼ら家族を暖かく迎え入れたが、その後、北朝鮮からの脱北人口は今日まで3万人を超えた。韓国社会において、脱北者たちは既に歓迎される存在ではなく、いわば「不便な同居人」でもある。

 中でも最近、脱北した北朝鮮の新体操選手でもあったイ・ギョンヒ氏の「Metoo」暴露がニュースに取り上げられた。

「Metoo」運動は韓国社会を席巻しており、芸能界のみならず、財界や教育界にもその波紋を広げていくなか、脱北者の「Metoo」は、世間の注目を集めている。

 イ氏は北朝鮮を代表する新体操の選手で、大陸選手権では1位も獲得したこともあるスター選手。韓国では「北朝鮮の孫延在(ソン・ヨンジェ)」とも呼ばれた(※孫延在:新体操アジア選手権個人総合を3回制覇した韓国新体操界のスター)。

 彼女は10年前に脱北し、新体操のコーチとして登用された。当時の月給は200万ウォン(20万円程度)。これでは生活が苦しいと上官に伝えたところ、「報酬に関わる相談はモーテルで話そう」と言われた。この上官は、当時の大韓体操協会の幹部で、イ氏の主張によれば、車中でセクハラをされ、未遂に終わったが、上官は性的な暴行にまで及ぼうとしたという。

 大韓体操協会の元幹部は、「これが資本主義だ」とイ氏に伝え、また「韓国に来て随分経つのに、それくらいも分からないのか。お前を助けるやつは誰もいない」と言い放ったという。この上官によるセクハラはその後3年間も続いたとイ氏は告白する。

 世論では「脱北し、韓国新体操界のために尽力した女性を助けるどころか、脅迫しセクハラをするなんで言語道断」などとイ氏に同情し、大韓体操協会に対する怒りを露にする声もある。

 一方、脱北者というレッテルが、「Metoo」告発後の追及の原動力でもある世論の後押しを鈍らせているとも言われている。

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韓国でも虐げられる脱北者に、安住の地はないのか

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