テント売店で売られていたカップラーメン。
スタジアム自体はサッカー専用スタジアムに近く、非常に観やすい造りになっています。しかし、残念ながらインフラ面は貧弱で、チケット売り場はコンテナ、トイレは仮設、売店はテント。飲食物の品揃えも
カップラーメン、スナック菓子、ビール、ソフトドリンク、コーヒーのみと、スタジアムグルメと言えるようなものはありませんでした。
また、チケット価格はKリーグの他クラブと比べて高い設定だが、座席カテゴリごとには仕切られておらず、スタッフもいないため移動し放題、つまり自由席となっています。
もう1つ残念だったのは、観客が少ないこと。
江原FCゴール裏サポーター
今回、平昌試合のホームとなっていた江原FCは2017シーズンからKリーグ1部に昇格しました。
平昌は人口が希薄な場所をリゾート施設として開発した経緯があり、スタジアムの位置する平昌郡大関嶺面(日本でいう村)の人口はわずか約6000人でした。
江原FCは昨年まで、人口の多い春川市、江陵市、原州市(いずれも人口約20~30万人)などで主に開催しており、ただでさえ平昌は普段よりも人口が少ない地域であるうえ、普段の主催試合都市からも離れており、
サポーターも定期的に訪れるには遠い場所のようです。
アウェイだったテグFCサポーター。遠征するには厳しい場所のようで人数も少なかった
実際、江原FCはシーズン中盤に2位まで浮上し、最終順位は12クラブ中6位と成績は好調だったものの、平昌で開催した16試合の平均入場者数は2000人を割るという残念な結果でした。
私が観戦した試合も入場者は1461人で、1部リーグの試合としてはやはり寂しい数字です。
シーズン終盤に春川市で開催した3試合では平均4000人の入場があったので、やはり平昌での集客は難しいということなのだと思います。
肝心の私が観戦した試合ですが、後半から売店のテントが飛ぶほどの暴風雨になり、コンコースへ避難したため、ほとんど試合を見られませんでした。結果はホームの江原FCが2-1で同じく昇格組の大邱(テグ)FCを下しました。
近隣に風力発電施設もあるような場所なので、オリンピックでジャンプ台から飛んだ選手が風に悩まされたのも、やむなしだろうと思いました。
ただ、帰りにバスターミナルへ向かうシャトルバスが見つけられず、スタッフにタクシーを呼ぶようお願いしたところ、スタッフが自分の車で送ってくれるという日本では考えられない待遇に与ることができました。
暴風雨に見舞われるという不運もありましたが、スキージャンプ台を背景にサッカーを観るという非日常感はここでしか味わえない貴重なもの。しかし、定期的にホームゲームへ通うことを考えると、都市部での開催と比べてアクセス面で難があると言わざるを得ないでしょう。
結局、今シーズンの江原FCはこのスタジアムを使用せず、春川市のスタジアムを使う予定だそうです。
平昌スタジアム全景。手前は仮設トイレ。今年からサッカー会場としての使用がどうなるのか不透明だ
ここからは私なりの考察ですが、平昌という場所は、複合リゾートとしては外国人観光客もターゲットにした大規模な施設があり、オリンピックのような単発イベントでは十分な集客を望めたのかもしれません。
しかし、恒常的な集客という点を考えると、スキージャンプとサッカーが同じ会場で開催できる世界的にも珍しいスタジアムではあるが、周辺人口・交通面を考えてもこのスタジアムでの恒常的なサッカー開催は難しかったという結論になってしまったのだと思います。
<TEXT・写真/的場雄一郎>
【的場雄一郎】
’88年生。学生時代にサッカークラブの開催警備アルバイト。現在は会社員だがシフト勤務であることを利用し、休日に世界を旅行する。パスポートのスタンプは約40ページ分埋まり、そろそろ一杯になる。他の趣味は競輪とスポーツ観戦。