やりたい業界に足りない部分を探せ! 「ダメリーマン成り上がり道」#2

連載◆「ダメリーマン成り上がり道」#2  音楽もイラストも映像も、ネットで気軽に作品を発表可能で、誰もが表現者になれる今の時代。一方で、地下アイドルなどが行うイベントでは、「表現したい人ばかりで観客がいない」「お客さんを集められるイベンターやプロモーターがいない」という問題も発生している。

興味がある業界で人材が足りていないのはどこか?

崇勲

『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)でモンスターを務めている崇勲にも、出場を直談判した

 ブームとなっているMCバトルでも、同様の問題は存在するようだ。“ラップの甲子園”とも言われる『高校生RAP選手権』はエントリー人数が1000人を突破するようになり、街中ではサイファー(複数人が輪になって即興でラップをすること)を目にする機会も増加。表現する側の人数は増えているが、日本最大のMCバトル大会のひとつ、『戦極 MCBATTLE』の主催者MC正社員は「本当にMCバトルが好きで、大会やイベントの運営もできる人は演者側の100分の1ぐらいしか、いないんじゃないですか」と話す。  前回(参照『“普通のリーマン”はいかにして日本最大のMCバトル主催者になったのか? 自分の「当たり前」が「才能」に変わるとき』)紹介したように、もともとサラリーマンをしながらラップをしていたMC正社員。10年ほど前から裏方に回るようになったのも、「期日までにイベントの内容を決める」という当たり前のことをできる人が業界に少なかったから……というのが理由だという。はじめて運営側に回ったのも、知り合いのイベントの手伝いだった。 「友達のラッパーが『半月後に80人くらいのハコでイベントをする予定なんだけど、まだ何も決まってない』って言ってたんですよ。それでオレが『時期的にマズいだろ! ちゃんと決めなきゃ』って言ったら、『マジか!』みたいな反応をされました(笑)」  そしてMC正社員は、「もうオレが半分決めるから! 残り半分はお願いね」と出演者への交渉を始めたが……。 「出演者の半分を決めて、『残りはどう?』って聞いたら、『何も決まってない。もうお前が全部やってくれ』と(笑)。結局、僕が全部イベントを手がけたら、それが形になっちゃったんですよね。それから『ちょっとウチも手伝ってくれないか』と頼まれて、関わり始めたのが『戦慄MCバトル』(後の『戦極 MCBATTLE』)だったんです」  その後もMC正社員は、持ち前の行動力でイベントを成功させていく。’09年に渋谷・UNDERBARで運営を任された『NECO』というイベントでは、当時レーベルに非公認で活動していたSKY-HI(AAA)をmixiのメッセージで勧誘。彼もMCバトルに参加した。(11年に渋谷・UNDERBARで開催された「ねるとんMCBATTLE」の様子はYoutubeにも残っている)
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あの人気ラッパーも直接勧誘
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