郊外から東京都心まで……閉店ラッシュの「TSUTAYA」、レンタル実店舗に未来はある?

CCCは「ライフスタイル提案」の書店事業にシフト

 こうした情勢の変化を受け、TSUTAYAを運営するCCC (カルチュア・コンビニエンスクラブ)も経営基軸をレンタル事業から「蔦屋書店」で知られる書店事業へとシフトしつつある。書店事業では、本に関連した商品なども合わせて陳列する「ライフスタイル提案型」の店づくりが大きな特徴だ。

「GINZA SIX」に出店する「銀座 蔦屋書店」(中央区)。「アートに特化した蔦屋書店」として人気を呼ぶ

 2017年度は4月に銀座松坂屋跡の複合商業施設「GINZA SIX」に“アートと日本文化”がテーマの新店舗を出店し、「TSUTAYAが銀座で日本刀や春画を商品として売る」という“破天荒さ“が話題を呼んだ。また、同月には大手家電量販店「エディオン」との提携により書店と家電売場が一体化した「蔦屋家電」の2号店をJR広島駅前に出店している。

近年は「蔦屋家電」も展開。新業態への試行錯誤は続く(広島市東区)

 さらに、近年はCCCが出版社自体を買収する動きも相次ぎ、12月には女性向け雑誌を中心に手がける「主婦の友社」を新たに買収。“モノ”から“コト”に消費構造が変化するなかで、これまでの「本に合わせた売り場作り」から更に上の段階である 「売り場と一体化した本作り」の領域に突入しつつある。 「レンタル」から「定額配信」へ。「TSUTAYA」から「蔦屋書店」へ。  時代が移り変わる中で、レンタルが中心の従来型店舗はあっさりと“終焉”を迎えてしまうのだろうか。

ネット配信の「穴」突いた戦略で生き残れるか

 絶体絶命とも言える従来型のTSUTAYAに生き残る道があるとすれば、まだまだ発展途上にあるネット配信の“穴”を突いた戦略を行うことだろう。  定額を払えば見放題・聴き放題と一見「無敵」にも思えるネット配信だが、日本人なら誰もが知るような有名アーティストや有名作品が配信未対応となっているケースが動画・音楽ともに多い。例えば、Mr.Children、サザンオールスターズといった有名バンドは2018年2月5日現在で定額配信に参入しておらず、「ミスチルやサザンが聴きたい」という人は、ほぼ必然的に最寄りのTSUTAYAへと駆け込むことになるだろう。  もちろん、同様に定額配信サービスでは見ることができない映画やアニメも少なくなく、消費者が見たい・聴きたいと思う有名作品が「定額配信サービス未対応」である限り、従来型のTSUTAYAはその受け皿としてまだまだ機能しうる可能性があるのだ。  実際に、TSUTAYAは2017年10月から月額1,080円を払えば動画の定額配信サービス「TSUTAYA TV」の利用に加えて、実店舗で旧作が返却期限なしで借り放題となる「TSUTAYAプレミアム」の提供を開始。「ネットにないものをリアルで補完する」という合理的な使い方が示されたことで、実店舗の存在意義がはっきりと浮かび上がったかたちだ。

月額1,080円で定額動画配信と実店舗でのDVDが借り放題となる「TSUTAYAプレミアム」のサービス。店舗によっては入会後1ヶ月間「完全無料」となる赤字覚悟の特典も実施している

 このTSUTAYAプレミアム、店舗によっては入会後1か月間「完全無料で借り放題」となる「赤字覚悟」の独自特典を導入しているところもあり、様々な定額配信サービスが生まれるなかで「ネット」と「リアル」の両方において顧客の囲い込みを図りたいというTSUTAYAの思いが見て取れる。  とはいえ、今後の定額配信の普及状況次第では、従来型のTSUTAYAはいつ滅びてもおかしくない。  街のレンタル店から大型複合書店、ネット配信へと姿を変えつつあるTSUTAYA。将来に亘って生き残るためには、過去の栄華に囚われない「捨て身の姿勢」と、時代に合わせた「変わり身の早さ」が求められそうだ。 <取材・文・撮影/佐藤(都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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