急な解散の弊害!? タイの在外投票に見る、「在外選挙」の投票率が上がらないワケ

高田胤臣
在外選挙

海外在住でも子どもの将来のためにも投票はしたい。そのためにはシステムに改善が必要だ

 いよいよ今週末に迫った第47回衆議院議員総選挙の投票日。

 しかし、筆者の居住地であるここタイでは12月8日にすでにその投票は締め切られている。これは在外選挙と呼ばれる、日本国外に住む有権者が在外公館などで投票ができる仕組みで実施されたものだ。バンコクでは在タイ日本大使館の特設会場で12月3日~8日までの間に行われた。

 筆者自身も2日目に投票に出向いたが、会場にいる日本人の立会人の方に聞いたところ、

「出足はこれまでの選挙に比べて悪いかもしれない」

 とのことだった。最終日に大使館へ電話取材をさせてもらったところ、今回の衆院選の在外選挙には約1000人程度が訪れたという。

 1000人というのは思ったよりは少ない気もする。日本外務省が発表するタイの在留邦人数は59,270人(平成25年10月1日時点)。もちろん、この人数には企業駐在員の子息など未成年者も含まれているので、有権者は確かにこれよりは遙かに少ない。それでも6万人のうちの1000人は1.6%にしかならない。

 なぜこんなに少ないのか? それは、在外選挙は在外選挙人名簿に登録している人でないと投票できないことに理由がある。この在外選挙自体の存在を知らないか、選挙もそう頻繁にないので登録を忘れたままにしているか、という人が多いのだ。

 総務省発表の在外選挙人名簿に登録している人数は112,390人(平成25年9月2日時点)しかいない。先の外務省発表の日本領土外の在留邦人は全部で1,258,263人だった。単純計算で、国外にいる日本人の8.9%程度しか登録していないことになる。

在外選挙人証

筆者の在外選挙人証。三つ折りにされたカードサイズになっている

 申請自体はさほど面倒ではない。まず20歳以上の有権者である日本国籍保有者が日本から海外への転出届を日本の役場などに出した上で、大使館などに在留届を提出する。本来は3か月以上の在住経歴が必要だが、在外公館によっては柔軟な対応をしているらしい(参照/外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/index.html)。そして、あとは申請書に記入し、住所の証明をしたりなどをするだけでいい。一度在外選挙人名簿に登録すれば、住んでいる国でなくても投票ができるので、一度登録しておけば転勤やほかの国に出張中でも在外公館などで選挙に参加できる。

 しかし、この申請からがちょっと時間がかかる。というのも、申請は在外公館から外務省を経由して日本の各市区町村の選管に送られ、再び外務省を経由して交付された在外選挙認証が送られてくる……というややこしいプロセスを辿るのだ。

 多くの人が今回も投票に来られなかったのはこの郵送タイムラグがネックになっているのではないかと思う。バンコクなどの通信事情がいいところでも、交付受取までに2~3か月かかってしまうのだ。今回の衆院選のように、急な解散ではこのタイムラグに間に合わせるのは至難の業なのだ。もちろん、次のときのために出しておけばいいのだが、ついつい忘れてしまうもの。次の選挙で再び自分が登録していないことを思い出す。こうして、在外選挙人の登録者数が在留邦人数に比べて少ない……という構図になってしまう。

 海外で生活をする日本人が増えているのだから、在外選挙の仕組み自体をもっと変えることはできないのかなとも海外在住者は思うのである。

<取材・文・撮影/高田胤臣>

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