100万円超! 超高級携帯Vertu 中国で再起を狙う
超高級携帯電話ブランドの「Vertu」を覚えているだろうか? かつては日本市場にも進出し、超高級携帯電話の代表的な存在だが、そんなVertuブランドの運営会社は2017年に経営破綻して世界各地の店舗も閉鎖した。しかし、中国ではVertuブランドを継続しており、その背景や狙いに迫る。
スマートフォン(スマホ)を含めた「Vertu」ブランドの携帯電話は英国のVertu Corporationが世界各地で展開していた。本体には本革、宝石、サファイアガラスなど高級腕時計に使われるような高級素材を惜しみなく使用し、邦貨換算額では安いモデルでも数十万円から、旗艦モデルは100万円超が一般的で、数千万円を超えるモデルも存在した。
「HANDMADE IN ENGLAND」を標語として掲げ、Vertu Corporationの本社機能を置いた英国・ハンプシャー州チャーチクロッカムの工場で職人が手作りし、本体内部には担当した職人の署名が入る。超高級携帯電話の販売だけではなく、コンシェルジュサービスも提供していた。2009年から2011年には日本市場でも事業を展開した。
Vertu CorporationはフィンランドのNokiaが設立したが、2012年10月にNokiaはVertu Corporationの株式の大半を投資会社に売却し、それ以降は所有者が転々と変わって経営状況も悪化していた。そして、負債額の規模から2017年6月29日に裁判所の命令による強制清算を申請し、2017年7月12日に清算手続きを開始した。
Vertu Corporationの清算に伴って世界各地のVertuブランドの店舗は閉鎖した。しかし、中国では一部店舗こそ閉鎖したものの、実はVertuブランドの事業が継続されている。中国では北京市に本社を置く緯図通信貿易(中国)がその事業を担う。中国などではVertuブランドの携帯電話を模倣した偽物が大量に流通するが、緯図通信貿易(中国)は偽物ではない。
緯図通信貿易(中国)はVertu Corporationの中国法人として設立された。2016年12月12日には直接的な所有者がVertu Corporationから香港の緯図香港に移ったが、緯図香港はVertu Corporationの香港法人であり、依然としてVertu Corporationの中国法人として機能していた。
しかし、2017年4月10日に緯図香港は国泰財富控股に緯図通信貿易(中国)を売却し、それから緯図通信貿易(中国)は事実上の中国におけるVertuブランドの総代理店となった。Vertu Corporationにとって中国は最重要市場のひとつで店舗数も多かったが、資金繰りに困るVertu Corporationと中国で勝機ありと考える国泰財富控股の双方にとって有益と判断したようだ。
Vertu Corporationの清算は2017年7月半ばに世界各地のメディアが一斉に報じたが、緯図通信貿易(中国)はすぐに中国の事業は継続すると声明を出した。Vertu Corporationが強制清算を申請した時点で緯図通信貿易(中国)は経営的に独立しているため、事業を継続できている。2017年12月下旬にはイベントに協賛し、2018年1月下旬にはスマート眼鏡を発表して新分野に参入するなど、緯図通信貿易(中国)が事業規模の拡大を図る動きも見られる。
超高級携帯電話の経営破綻
中国で継続していたVertuブランド
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