意味のある学習法を採用するか否かの時点で、すでに格差は始まっている
世の中にはいろんな学習法が存在します。
テキストを何度も読み直す、覚えたいところにアンダーラインを引く、語呂合わせで単語を覚える……。
誰もが一度は試しただろう定番のテクニックばかりですが、実はいずれも科学的には否定されているのをご存じでしょうか? これらの手法は、一部の教育者が自分の経験をもとに編み出したものにすぎず、近年の実験では効果が再現されていません。
「学習法」の世界には、こんなことがよくあります。とっくに否定されたテクニックなのに、なぜか強い影響力を失わず、教育の現場で「定番の勉強法」として使われ続けるのです。
そんな実態を明らかにしたのが、2016年にアメリカ進歩センター(CAP)が行なった調査です(1)。
これは、およそ3,000人の教育関係者を対象にした研究で、すべての参加者に「科学的に間違っている学習法」を提示したうえで、「どの方法が有効だと思いますか?」と尋ねたもの。ちなみに、CAPはオバマの政策立案などを手がける有名なシンクタンクで、データの質には定評があります。
それでは、現役の教育者たちは、どのような「迷信」を信じているのでしょうか? まずは、もっとも支持者の数が多い「間違った学習法」の上位4つを紹介しましょう。
4位:テキストにアンダーラインを引く
教科書の重要なポイントに下線を引きながら読むという人は多いでしょう。しかし、この方法は、何となくテキストに目印をつけだけで満足してしまい、うまく記憶に残らないことが多くの実験でわかっています。日本では蛍光ペンで文章をハイライトするケースも多いですが、こちらも意味がない点では同じです。
3位:テキストを何度も読み返す
こちらも定番の学習法ですが、やはり多数の実験で効果が否定されています。というのも、学習の効率を高めるには、自分から積極的に脳を働かせていく態度が絶対に必要だからです。専門的には「能動学習」と呼ばれる考え方です。
ところが「テキストの再読」はあくまで受け身の学習法にすぎず、ただの流れ作業になってしまいがち。学習法としての効果は下です。