ジャケット袖からシャツの袖先を1センチ程度見せることが最適な着こなしであることをご存知ですか?
そもそもヨーロッパでは下着として認識されてきたシャツ。下着としての役割から、ジャケットの袖裏に皮脂が付くことを防ぐため、
ジャケット袖からシャツが1センチ程度見える着こなしが最適です。
これを実践したとき、袖先の生地が傷みにくくジャケットが長持ちします。ジャケットの袖先と皮膚の摩擦が生地を傷める原因になっていたのです。
また、視覚的見地からも清潔感の演出に繋がると私は見ています。ダークジャケットに白いシャツ袖がチラッと見える事で、視覚的なコントラストが爽やかなメリハリを生みだすからです。
ツープライススーツ量販店であっても、ジャケット袖のお直しは可能です。また、ショップによってはシャツ袖のお直しも受け付けています。プラス数千円で清潔感を買うと考えれば高い買い物ではありません。
何気なく絞めたネクタイ、その剣先の位置を意識していますか?
最適なネクタイは、
立っている状態で剣先がベルトの位置にくる程度だと言われています。ベルトを基準に、短すぎる剣先はコミカルな印象に見え、長すぎる剣先はだらしない印象に見えます。
このだらしないという見え方こそ、清潔感をかき消してしまう天敵です。その昔、ネクタイを短めに結ぶことが流行った時代はあったようですが、長く結ぶ流行はなかったようです。だらしない印象は生活感そのもの! この生活感をゼロにすることが清潔感を生みだす秘訣だと私は見ています。
だからこそ、ネクタイの緩みも注意しましょう。その緩みはだらしなく見えるリスクがあるからです。とりわけ外回りの営業職はじめ動くことが多いビジネスマンには「
セミウインザー・ノット」という結び方をお薦めしています。
すっきりしたノットの見栄え・緩みにくい実用性、どちらも兼ね備えた結び方だからです。
「足元を見る」ということわざの語源からも分かるように、人は相手の実情を判断するうえで足元をチェックする習慣があります。実際、相手の足元から分かる情報は意外と多いのではないでしょうか?
だからこそ、つま先のお手入れに加えて「
靴のかかと」に注目することをお薦めします。特に女性と接することが多い職場の方は重要です。女性は自身が履くヒールのかかとを靴の修理屋さんで直すことが多く、男性の靴を見たとき、かかとのすり減り具合が目に付くそうです。
ゴムがすり減って靴底の革の色が見えているビジネスマンは修理屋さんで直しましょう!
以上4つの先端から「生活感」を完全排除したとき、逆説的ですが清潔感が生まれるのではないでしょうか? そして、服のビジネススキルには「清潔感」の先があったのです。
長くなりましたので、残り2つの「質感」「丈感」についてはまた次回お話します。
森井良行
<TEXT/森井良行>
【森井良行】
株式会社エレガントカジュアル代表取締役。’79年 千葉県出身。服のコンサルタント、「プロの目線でユニクロも好印象!」をモットーとして、のべ4000人を超えるビジネスマンの買い物に同行。公式サイト「
エレカジ」にて、自身がリサーチしたアイテム情報など随時更新中。上場企業から「営業マンのための印象研修」を請け負っている