トップダウンで100やらせるのはNG! チームのパフォーマンス向上に必要な合意形成、最後の締め

山口博

kasto / PIXTA(ピクスタ)

最後まで「質問」により進行するのがキモ

 会議や対話で、洗い上げ質問、掘り下げ質問、示唆質問、まとめの質問の4つの質問を繰り出していくことで、一定時間内に合意形成できる確度を格段に高めることができます。今回は、示唆質問を繰り出した後(参照:『会議の進行役は解決の方向性を考える必要はない!?』)、まとめの質問で合意形成を実現する方法についてお話しましょう。

 例えば、来年度の業務方針を、メンバーで合意する会議があるとします。方針説明者が方針説明をした後、進行役は、洗い上げ質問により異論や懸念を洗い出し、掘り下げ質問により異論や懸念の深刻度合に応じた優先順位付けをします。そして、最も深刻な問題から、示唆質問により、方向性の示唆をして、異論を唱えた人の合意を取り付ける……というところは前回までに説明いたしました。

「リソースが不足しているからその業務を実施することができない」ということが最も深刻な懸念であれば、「そうであれば、仮に人手の応援が得られれば賛成ですか」と示唆を繰り出して方向性を見極める質問をします。「スケジュールが合わないから出来ない」ということが最も深刻な問題であれば、「もしスケジュールをあらためて調整するということであれば、少なくとも反対しませんか」というように方向性の合意を取り付けるように仕向けます。

 最後のまとめの質問は、会議参加者全員に対して、それでは、「この前提で賛成ということでよろしいですか」「○○が出来るという条件で、方針を実施するということで問題ありませんか」と、最後の賛否も質問により問う方法です。

 最後まで質問により進行することがポイントなのです。「では、こうしましょう」「○○してください」と断定や命令が入ってしまっては、合意形成ができなくなります。あらためて紛糾してしまったり、見せ掛けの合意に陥ってしまったりするからです。

2~3回のプロセスで合意形成は実現できる

 この方式を、演習や実際の企業でのビジネスシーンの中で実施してもらうと、洗い上げ質問で異論や懸念が10出たら、洗い上げ質問、掘り下げ質問、示唆質問、まとめの質問のプロセスを10回回さなければならないのかという心配の声が挙がってくることがあります。

 そういう声を挙げてくれた人には、「実際に4つの質問のスキルを試してみてください」というようにお勧めしています。実際に試してもらうと、洗い上げ質問で異論や懸念が10出されても、4つのプロセスを2~3回まわしたら、全員の合意形成が実現できたという報告をもらうことがほとんどなのです。

 それは、最も深刻な問題からプロセスを回すからです。その点が、出された懸念から順に議論していく方法と大きく異なる、合意度を格段に高めることができるポイントなんです。

 最も深刻な問題の深刻度が70であるとします。参加者1人にとっての懸念度合が70というように捉えてもよいですし、10人のうち7人が深刻に思っているというように捉えてもよいでしょう。そして、2番目に深刻な問題の深刻度が50で、3番目に深刻な問題の深刻度合が30だとしましょう。

 これら3つの問題について合意形成のプロセスを回せば、単純計算で150の合意度ということになります。もちろん人間の気持ちの問題なので、単純計算のようにはいきませんが、上位3つの深刻な問題から議論していけば、2~3回プロセスを回せば、参加者の合意に近づくというイメージは持っていただけることでしょう。

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「そうは言っても、できないよな」

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