FX投資を“ロボット任せ”にすると、いったいどうなる?
世界の金融の最先端とされる米ウォール街では、すでにAI(人工知能)がトレーダーやアナリストの職を奪い始めている。人間と違って機械は余計な感情や思い込みと無縁で、常に客観的で合理的な判断を下す。そんなAIによる運用や分析が、急速に普及し始めているのだ。日本でも最先端のAIとまではいかなくても、高度なアルゴリズムを用いたポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)の提案がすでに行われている。それがロボットアドバイザーだ。
投信やETFを通じた国際分散投資をサポートするロボットアドバイザー。しかし、金融界ではFXの攻略に市況の分析など、さまざまな方面にロボの活躍の舞台が広がっている!
松井証券が昨年8月から提供を開始したのがFX向けのロボットアドバイザー「AI チャート・FX」だ。ロボットアドバイザーには、コンピュータが自ら学習して知見を深めていくというディープラーニング技術を用いたAIを搭載。AIがチャートパターンを分析し、独自の投資アルゴリズムを作成してくれる。
チャート上でエントリーのタイミングを3つ以上選択すると、AIによるチャートパターンの学習がスタートし、それらのタイミングに基づいた投資アルゴリズムを作成。バックテストを行ったうえで、その結果を踏まえながら、調整を施すことも可能なうえ、さまざまなテクニカル指標も使用できる。生身の人間と違って記憶力はカンペキだから、どんどん賢くなれば、極めて有効なアルゴリズムを考案してくれることが期待される。
また、当初は昨年6月下旬を予定していたリリースが延期となっているものの、楽天証券も「楽天Robox」というFXのロボットアドバイザーの導入を計画している。質問に答えていくと、複数の投資ストラテジーを組み合わせたポートフォリオ運用が提案されるという。
AIの台頭は、市場調査の分野にも及んでいる。マネックス証券が昨年4月から提供している月次の「MONEX AI レポート」はその名の通り、AIによる分析を用いたものだ。世界主要地域の景況感の見通しについて視覚的にわかりやすくまとめられており、レポートの最後ではオススメの投信も紹介されている。投信の選定自体は人力で、AIによるものではないが、本邦初の内容のレポートであり、今後の動向に注目したい。
取材・文/大西洋平
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