「異業種コラボ」に力入れるファミマ、「地方の問題」解決のため手を組んだ相手とは?

異業種・異業態との「一体型店舗」を積極展開するファミリーマート。地方部では農協や生協といった協同組合とのタッグで、地方問題の解決を図っている

 2回にわたってお送りしている大手コンビニ「ファミリーマート」(以下、ファミマ)が生み出す「異業種コラボ店舗」特集。前回配信した「コンビニ+驚きのコラボも!『異業種一体型店舗』に挑むファミマ、その成否は?」ではドラッグストアや書店など、おもに都市部における戦略を追ったが、今回取り上げるのはそれとは大きく異なった、地方における異業種一体型店舗の展開についてだ。

「あなたと、コンビに。」を基本理念に47都道府県すべてに店舗網を持つファミマだが、近年、地方ではこれまでライバル関係にあったローカルスーパー、それも農協や生協といった地域密着型の協同組合が運営する店舗とタッグを組むことで、地方で起こっている様々な問題の解決に挑んでいる。

老朽化した農協スーパー、建て替えのための救世主は「ファミマ」

 地方におけるファミリーマートの「異業種コラボ」として近年順調に数を増やしているのが、農協(JA)が運営するスーパーマーケット「Aコープ」との一体型店舗だ。

 Aコープは主に高度経済成長期から1990年代にかけて全国の農村部で店舗展開を加速し、組合員をはじめ農家以外の地域住民の消費も支える小売店として機能してきた。そうした時期に出店したAコープの店舗は老朽化が目立ってきたものが多く、店舗の建て替えやリニューアルの時期に差し掛かっている。しかし、その多くの店舗が過疎地や農村部にあるゆえ、農協が再投資をするのは難しい状況であった。そうした店舗の建て替えの際に「救世主」となったのがファミマだ。

 Aコープとファミマの「いいとこどり」ともいえる「ファミリーマート+Aコープ」が初めて生まれたのは愛媛県伊予市で2014年5月のこと。その後、店舗網を山陰、北陸、東北などへ拡大、2017年11月には秋田県北秋田市で店舗が誕生するなど、ファミマとAコープの一体型店舗は全国各地で見られるようになっている。

 福島市飯坂温泉の住宅地にある「ファミリーマート+Aコープ湯野店」もその一つだ。前身は1970年代前半に出来たAコープだったが、老朽化にともなう建て替えにより2017年1月からファミマとの一体型店舗として新たなスタートを切った。

福島県飯坂温泉の住宅地にある「ファミリーマート+Aコープ湯野店」。付近は桃の名産地ということもあり、店内では採れたての桃を販売していたのが印象的だった。(撮影は2017年8月)

 ファミマ+Aコープ各店の売場面積は平均して約400平方メートルほど。一般のスーパーよりは小さいものの、通常のコンビニの約2倍の広さで、多くは都市部で見られるファミマとミニスーパーとのコラボ店舗よりも広い。この湯野店ではファミマの売場をベースに農協運営ならではの豊富な青果類もラインナップ。イートインも一般的なコンビニより広い14席で、取材時も店内で購入した惣菜をつつきながら談笑する住民の姿が見られた。

 また、同年4月からは、このファミリーマート+Aコープ湯野店を拠点とする移動販売車「ファミマ号」のサービスがスタート。小売店が少なく高齢化率も高い周辺住宅地において、買い物難民を解消するための「食のライフライン」としても機能している。

買い物困難地域にも出店!キッカケは「行政のお膳立て」

 農協運営の「ファミリーマート+Aコープ」では一体型店舗を拠点とする移動販売を実施することで買い物難民に対応していたが、福島県のお隣、宮城県七ヶ宿町では「みやぎ生協」(みやぎ生活協同組合)が2017年4月に「ファミリーマート+コープ七ヶ宿店」を新設した。

人口約1,500人の小さな町、宮城県七ヶ宿町に開業した「ファミリーマート+コープ七ヶ宿店」。
コインランドリーなども設置されており、町内では数少ない小売店としてライフラインの1つとなっている

 蔵王連峰の南麓に位置する七ヶ宿町では、これまで食品スーパーはおろかコンビニすら存在せず、隣接する白石市の小売店舗までは約25kmの車移動を要する典型的な「買い物困難地域」だった。買い物難民対策に頭を痛めていた七ヶ宿町は、宮城県内で食品スーパーを展開するみやぎ生協とファミマに出店を仰いだのだ。

七ヶ宿町に隣接する白石市には「みやぎ生協セラビ白石店」が出店。ファミマ+コープ開店までは七ヶ宿町から最も近い小売店舗の1つであり、町民の生協加入率が高かったことも出店のきっかけとなった

 しかし、2017年4月1日時点での七ヶ宿町人口は宮城県内最少の約1,500人で、そのうち65歳以上の高齢者が半数近くを占める。2035年には町人口が1,000人を割ると予測されるなかで、人口の少なさや購買力の落ちる高齢者を多く抱える同地への出店は、みやぎ生協・ファミマともに大きな覚悟を要するものだった。

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