『私をスキーに連れてって』を30年ぶりに見てセンチメンタルになったという話 「サラリーマン最終列車」#1

真実一郎

JR SKI SKIキャンペーンサイトより

 JR新宿駅に、若かりし頃の原田知世がスキーウェアで微笑んでいるポスターが至る所に貼られていて、一瞬わが目を疑った。
 例年であれば爽やかな新進女優と旬なミュージシャンを起用する、JR東日本のウィンター・キャンペーン「JR SKI SKI」。それが今季はガラリと趣向を変えて、30年前の大ヒット映画『私をスキーに連れてって』とのコラボレーションを展開している。

『私をスキーに連れてって』は、’87年というバブル景気の真っ盛りに公開され、空前のスキー・ブームを加速化させた伝説的な作品だ。現在40代後半から50代の世代であれば、たとえ見たことは無くても、誰もがみんな知っているだろう。

 若い社会人や大学生が、こぞって有名ブランドのスキーウェアを買い、車を夜通し運転してスキー場にかけつけ、1時間以上並んでリフトに乗った、あの狂乱から30年。平成も終わろうとしている今、なぜ昭和の遺産が再び掘り起こされたのか。

 観光庁が昨年発表した「スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会」最終報告資料によると、日本人のスキー・スノーボード人口は、’90年代の1,800万人をピークに、’15年には740万人と半分以下に減少しているという。特に40~50代の「中断者」が多いため、こうした層の取り込みがスノースポーツの参加人口拡大に繋がると提言されている。

 今回のSKI SKIキャンペーンは、明らかにこの世代を開拓しようとする試みだろう。

 26種類に及ぶCMでは、当時の映像素材と松任谷由美の楽曲を使いつつも、若き原田知世と三上博史にコント調の台詞を被せて広告化しているので、心地よいノスタルジーには微妙に浸れない。それでも一定の関心は集めたようで、ネット通販大手アマゾンの邦画DVD販売ランキング(アニメを除く)で、昨年の12月は『私をスキーに連れてって』が1位を獲得したらしい。

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あの頃の「サラリーマン」像
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