それでは実践的な表情をつくるトレーニングについて紹介したいと思います。次の2つのステップを踏むことで表情を正確につくることができるようになります。
ステップ①感情・表情を大まかにイメージする
ステップ②顔面筋を一つずつ正確に動かす
恐怖と嫌悪を具体例に説明します。
最初に恐怖感情・表情とはどんなものかイメージして頂きます。恐怖感情・表情のイメージは、「冬に薄着で外に出る」です。
「ざむい!」
となります。寒さは死と関連しますからね、死は全ての生物にとって恐怖です。とても寒いところに薄着でいるイメージ、もしくは実際にそのように行動すれば、勝手に恐怖感情・表情が生じます。
イメージできたら、ステップ②顔面筋を一つずつ正確に動かす、に進みます。
恐怖表情は、「眉を引き上げる+眉を中央に引き寄せる+目を見開く+下まぶたに力を入れる+口を水平に開く」という動きから構成されます。
鏡を見ながら正確に表情がつくれているか確認してみて下さい。
次に嫌悪感情・表情です。イメージは、「暖房ガンガンの部屋で厚着でシャドーボクシング1分」です。
「あ”つい!」
となります。体温を一定に保とうとする恒常性機能により、余分な熱を体内から排出すべく嫌悪(=不快なモノの排除という働きを持つ)が生じます。イメージできたら、ステップ②に進みます。
嫌悪表情は、「鼻のまわりにしわを寄せる+上唇を引き上げる」という動きから構成されます。イメージが出来上がっていれば、嫌悪表情を正確につくることは簡単です。
鏡を見ながら正確に表情がつくれているか確認してみて下さい。
なんとなく表情づくりのコツがつかめましたでしょうか?
もっと詳しく表情のつくり方について学ばれたい方は、拙著『
ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)を参考にして下さい。
微表情を読み、人の気持ちを理解する第一歩は、正しい表情づくりから。
【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。