こうしたなか、懸念されるのがステマとの差別化である。基本的にPR投稿の場合、インフルエンサーはそれを示すハッシュタグをつけることが暗黙のルールとなっているが、現時点ではPR投稿であることを明示する法的義務はない。それ以外にも、想定される問題がある。
「たとえば健康食品の場合、薬事法や医師法上の表現規制がありますが、それが遵守されてない投稿をきっかけに購入し、体に悪影響が出た場合は訴訟に発展するケースもありうる。しかし現状では『個人の投稿を通じて買ったならうちは関係ない』と責任回避する企業もあるといいます」
トラブルを避けるにはSNS側がPR投稿へのガイドラインを設け、企業とインフルエンサーが契約時にしっかりと確認するほか、ユーザ側の知識も求められる。このような状況のなかで坂本氏は、法整備が大きな課題であると指摘する。
「インフルエンサーマーケティングはまだ法律が追いついていない広告活動。今後数年かけて皆が実践を通じて学んでいく必要があると感じます」
一方で、インフルエンサーを養成したり、マネジメントするなどの周辺ビジネスも活性化する兆しだという。今年はインフルエンサーとのコラボレーションが、経済に大きな転換をもたらすに違いない。
【坂本翔氏】
ITジャーナリスト。SNS集客支援を行う株式会社ROC代表取締役CEO。著書に『
Facebookを「最強の営業ツール」に変える本』
<取材・文/安英玉>