走るのは選手だけじゃない、箱根駅伝の“裏レース”とは

優勝校には数十億円分の恩恵も!? 熾烈なマーケティング競争

 SNSの普及により、各大学の陸上部の雰囲気まで容易に収集できるようになった。中でも特に青学は、生徒達のイメージが良い。  また、箱根駅伝は名門校でない大学の学生獲得の“広告”としても認識され始めている。過去には、数多の好勝負を演じた山梨学院大学が、箱根優勝を機に一気に偏差値を上げた例もある。近年では、城西大学の台頭も目立つが、第二、第三の山梨学院大学の座を狙っている大学も存在する。  また、優勝時の経済効果が数十億円とも言われ、個別にスポンサー契約を結ぶ大学も出てきた。 「日本のメーカーは金銭より、物品だけのサポートも多い。一方、ナイキやアデイダスなどは、かなり細かい契約をしていると聞きます。例えば、優勝したら〇〇をするといったサポートもしていて、強化費が出る場合もあるようです」  箱根駅伝はもはや、甲子園と同等で、ビジネスの場や運営戦略的に、“利用”することも珍しい光景ではなくなった。 「まだ箱根に出場していないが虎視眈々と強化している大学もある。もはや志願者増、知名度上昇のためのコンテンツといえるでしょう」 《箱根駅伝による経済波及効果》 ●高視聴率獲得  2017年の視聴率は往路27.2%、復路28.4%。高視聴率を取るほどCM契約料も増加 ●入学者増加の見込み  2008年度(第85回)、東洋大学1年生だった柏原竜二がレースを盛り上げて優勝。その結果、翌2009年度の同大学受験者数が前年度の16.2%増となった ●コース地域の経済活性化  チーム滞在費と観戦客の宿泊、移動、飲食費 ●大手スポーツプランド参入  大学、番組とのスポンサー契約
酒井政人

スポーツライターの酒井政人氏

※編集部調査 【酒井政人】東京農業大学1年時に箱根駅伝出場。『東洋経済ONLINE』『中日新聞プラス』で連載。新著に『箱根駅伝ノート』 <取材・文/栗田シメイ>
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