企業の「ウラの意図」を汲んで、爆上げのきっかけ「カタリスト」を見抜く方法

 名だたる億超え投資家たちも一目おく凄腕投資家として知られる、横這勝利氏。爆上げ銘柄やTOB銘柄を次々的中させ、資産は激増。昨年15億円を突破した。どうやってここまで上り詰め、今、どんな銘柄に注目しているか。取材班がむりやり聞き出した。
TBK

TBKはお米がもらえる株主優待を新設。なぜ優待を新設したのかを考えたい

優待新設、昇格、増配などの「カタリスト」を期待

 株価上昇のきっかけのことを「カタリスト」と呼ぶが、企業の“ウラの意図”を汲めば、どんなカタリストが起こりうるのかが見えてくる。  カタリスト――相場や株価の変動を誘発する材料やきっかけのこと。例えば、株主優待を新設したり、新たに配当を出したり増配したりすると、株価は大きく上がりやすい。 「こういった好材料は、表向きには『株主の皆さまへの還元のため』と発表されますが、そのまま受けとってはダメ。人は利己的だからこそ、それによって利益を得るのは誰なのか、何をしたいか、真意を考えるべき。何らかの“ウラの意図”があるはずなんです」  例えば、ジャスダック銘柄が東証に市場替えしたり、東証2部銘柄が東証1部に昇格するためには、「時価総額」や「株主数」で一定条件を満たす必要がある。

株主優待がない銘柄は優待を新設して昇格を狙う可能性も

昇格基準である株主数にわずかに満たない企業は、個人株主を増やすことを狙って株主優待を新設する場合があります。また、株式分割も同様の意図を持って実施する場合があります。分割をすると、少ない資金で買うことができるようになって、すそ野が広がり株主数が増えるからです。また、株価が上がり、時価総額も増えると期待されます」  “ウラの意図”は、昇格や市場替えだけではない。 「例えば増配や自社株買いは、株価を上げて自分の身を守ることにもつながります。経営者自身が大株主の会社の場合、自社株買いをして株価を上げるのは自分にとってメリットがありますし、増配をするとより多くの配当を受け取れるようになりますよね。利己的な会社であればあるほど、繰り返し行う傾向があるんです(笑)」  ハンドルネームの由来にもなっているが、横這氏は「横這いや底を這っているチャートの形が大好き」だという。 「そういった銘柄はこれ以上、下がるリスクが少ないですから。さらに『カタリスト』があれば、大きな上昇が期待できる。私は資産15億円のうち10億円以上を株で持っていますが、個別株に投資すること自体が『分散投資』になっていると考えています。一般的に分散というと株や債券、金、さらには国内外など、さまざま商品や投資先に投資することを指しますが、上場企業は3600社近くあって、低リスクながら高いリターンが期待できる銘柄もあるし、企業だってさまざまな国に進出している。個別株に投資することが十分、分散投資になっているんです」
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