堅田洋資氏
――日本ではデータサイエンティストを育成する流れは起きているのでしょうか。
堅田:アメリカで起きている出来事が数年遅れて日本でも発生する、とよく言われています。今年の4月からは、滋賀大学がデータサイエンス学部を設立し、横浜市立大学もデータサイエンス学部を’18年からはじめようとしています。徐々にではありますが、日本の教育機関でもそういう動きが生まれつつありますね。
――スクールでは、6か月でデータサイエンティストを育成するとありますが。
堅田:学習期間が6か月というのは、実はかなりギリギリでもあります。私が通っていたアメリカの大学院でも1年間、他の学校でも2年間は学位取得にかけていました。ただ、弊社のスクールの目指すところは完全な一人前ではなく、半人前だけど、企業で実務ができるレベルです。
――スクールで学ぶ人はどのような職種の人が多いのでしょうか。
堅田:現役のエンジニアは意外と少なくて、4分の1程度でしたね。あとは経営企画や経理、営業といったビジネス側の人たち。30代前半の人たちが一番多いですね。もちろん、それなりにプログラミングの素養があると助かりますが、素養がなくても、ガッツさえあれば6か月間で身につくように教えています。
――実際に授業の内容はどのようなものでしょうか?
堅田:統計学や数学はもちろん、データ分析でよく使われる「Python(パイソン)」などのプログラミング言語を教えたり、アルゴリズムを実装したりと、プログラミングの学校に似たところもあります。
あとは、ビジネスでの実践を想定しているので、データ分析をどう活かすのか、実装したらいくら利益が出るのかなどを考えてもらいます。あるいはプレゼンテーションスキルや、予想コスト削減額を出して、社長にプレゼンするときのケーススタディもやってもらいます。
――かなり実践的な内容を教えているのですね?
堅田:ただデータを集めるのではなく、何をやりたいか、集めてきたデータをどう料理するかが授業の3分の1を占めています。残りの3分の1で、どういう食材を集めてくればいいかを教えています。
データサイエンティストの授業は、料理の仕方を教えているのですが、どういう料理を作ったらよいかはなかなか教えてくれません。玉子(データ)があったら、それで目玉焼きを作るのか、スクランブルエッグを作るのかも本来は学ぶ必要があるのです。
なぜなら結局、ビジネスの課題が何かわからないと、集めたデータをどう使えばよいのかわからないからです。私の通っていたアメリカの大学では、焼き方や茹で方を教えていて、「あとは実地で学びなさい」というのが多かったです(笑)。プログラミングだけだと、ビジネスシーンでの活用法がわからずなかなか現場で役に立たないのです。