グーグル、アマゾンがこぞって求める「データサイエンティスト」という仕事
――なぜ今、注目されているのでしょうか?
堅田:インターネットやSNSはもちろん、IoTなどのテクノロジーの進歩により、今までデータを収集できなかった場面でも、顧客の行動データや工場の稼働状況など大量のデータを収集し、分析できるようなったためです。これまで財務諸表など1つの情報を深掘りしていけばよかったのが、ツイッターや「食べログ」に投稿されているレビューや写真など、さまざまな情報をもとに経営判断に資する情報を得る必要が出てきたのです。
――具体的には何をするのでしょうか?
堅田:まず求められるのは、データから何かを予測すること。アルゴリズムトレーディングと呼ばれる株取引や、メディアやECサイトの「あなたへのおすすめ」といったレコメンデーションエンジンを作ったりします。
前職はさまざまなメディアから記事を集めて、その中身を自動的に解析し、配信するキュレーションアプリの会社にいましたが。たとえば、「仮想通貨」に関心がありそうな読者には「ビットコイン」に関連する記事を優先的に配信するとか。そういうアルゴリズムやプログラムを作っていました。
――海外ではデータサイエンティストはどのように認知されているのでしょうか。
堅田:アメリカでは、アマゾンなどのECや、グーグル、フェイスブックといったIT業界でまずデータサイエンティストという職種が注目されるようになっていました。今では、UberやAirbnbといった、タクシーや空き部屋というフィジカルなサービスに関わる会社にもデータサイエンティストがデータを分析しています。
近年では、GE(ゼネラル・エレクトリック)など伝統的なメーカー企業でもIoTの分野と絡めて、データサイエンティストの必要性が認識されており、今後は農業や物流、ヘルスケアなどデータ分析を重視されていなかった業種でも需要が高まってくると思われます。
たとえば農業では、すでに土の中にセンサーを埋め込んだり、ドローンを飛ばして、作物の収穫量を予測するなどの話も聞くようになりました。あるいは、きゅうりの写真を撮影し、曲がり具合などから売り物になるかならないか人工知能で自動的に判断することもあるようです。
――日本でのデータサイエンティストの現状は?
堅田:かつては、レコメンデーション機能があるソフトウェアを買って、導入する会社も多かったのですが、今はそれを自社で開発するところが増えています。今後そのような動きが続けば、現状のデータサイエンティストの人材では、まったく足りていないですね。
それだけでなく、データサイエンティストはビジネス知識がある程度ないと難しいです。プログラミング自体はそこまで得意ではなくても、人工知能や機械学習などをどうビジネスに結びつけるかを考えることも役割の一部だと考えます。
リクルート、楽天、ソフトバンク、あるいはLINEやDeNAといったインターネット企業では、すでにデータサイエンティストを集めています。ただ、そうした限られた企業に一極集中している現状なので、ほかの企業や業界では足りていませんね。
<取材・文/井野祐真>
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