「不祥事株投資は麻薬のようなもの。上場廃止という大きなリスクが伴う一方で、うまくいけば短期間で倍以上の利益が出る。一度味わうとやめられなくなってしまいます」
と話すのは、暴落株を拾う「底値投資」で2億円の資産を築いた吉良吉影氏だ。
過去には粉飾決算事件時のオリンパス、東日本大震災直後の東京電力にそれぞれ数百万円を投じ、投資額を倍以上に膨らませる成功を収めてきた。不祥事銘柄ほど値動きは大きくないが、業績不振で売られ続けている銘柄でも同様の魅力を感じて積極的に投資している。これらの「底値銘柄」には手を出してはいけないものもあるが、その判断ポイントは2つあるという。
「まずは上場を維持できること。そしてもうひとつは、悪材料が出尽くしていることです。次の爆弾が眠っていそうに見えたら見送ります」
そのうえで、以下のエントリー条件を満たしてきた銘柄に投資する。①過去のチャートのサポートラインで反発している、②サポートラインを割り込んで下落した後で、値動きが落ち着いてきた、③ボリンジャーバンドが-2σか-3σにタッチ、④年初来安値やストップ安をつけた直後、⑤貸借倍率や信用倍率が改善してきた(小さくなってきた)、⑥業績不振銘柄の場合は同業種の銘柄に復調の兆しが見えること、の6つの条件だ。当てはまる数が多いほど、成功率は高まるという。
’17年の成功例として、電子回路基板メーカーのメイコーがある。業績不振に加え、震災の工場被災、ベトナム工場の火災で大きな負債を背負い、長い間売り叩かれた銘柄だったが、’16年に赤字を脱出したことで株価が300円から900円に急騰、その後の押し目となる700円台で投資し、
2か月で500万円の利益を得た。
メイコー(6787)
「電気・機械セクターの業績回復が報じられていたのと、ボリンジャーバンドで-3σにタッチ、700円のサポートラインで底堅い動きをしていたことからエントリーに踏み切りました」