コミカルな要素を組み込むペアも
パフォーマンスにはコスプレイヤーたちの個性が強く反映される。演劇的要素に強みを発揮する者もいれば、質感のある衣装づくりが得意な者もいる。さらには肉体の動きが連動して動作する電子部品を組み込む者までいる。
また新しい表現方法や技法が生まれ続けている。決勝の会場が屋外から屋内に移った際、ステージ映えを考慮してLEDやレーザー光などのギミックを取り入れる者が増えた。
しかし流行・定石が生まれれば、その逆を行く者も現れる。今年・2017年大会に出場した中国だ。中国代表が表現した作品は『BLOOD THE LAST VAMPIRE』。セーラー服の少女が刀ひと振りを手に怪物と闘うホラーアクションアニメだ。
中国代表が演じた内容はシンプルだ。主人公の少女・小夜が怪物に襲われピンチに陥るが、秘めた力を解放して返り討ちにし、本当の怪物はどちらだったかを見せつける。
原作アニメの文字通り人間離れした動きを、
中国代表は舞台で激しくかつ鮮やかな殺陣と間の組み合わせで再現した。コスプレとはキャラクターに扮する行為だが、衣装やメイクだけでなく「動き」もコスプレの一部だと示したのだ。
中国代表は見事優勝を果たし、故郷に錦を飾った。
審査員を圧倒した中国代表
今年のチャンピオンシップには、34の国・地域が集まった。また、本戦出場を希望する待機国・地域は30を越え、2020年の東京オリンピックの年にはさらに増えることが予想される。
現在も世界中で予選が開催中だ。機会があれば世界コスプレサミット・チャンピオンを見てほしい。次元を越えた情熱の世界がそこにある。
<文/吉田もとふみ 写真/株式会社WCS>